【箱根駅伝】青学大、復路新記録Vも届かず2位 原晋監督「采配ミス」往路6位響いた

スポーツ報知
総合5連覇を逃し、報告会で頭を下げる青学大・原監督(左から5区・竹石、6区・小野田、7区・林、8区・飯田、右端は美穂夫人=カメラ・安藤 篤志)

◆報知新聞社後援 第95回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)復路(3日、芦ノ湖―東京・読売新聞東京本社前、5区間=109.6キロ)

 史上初となる2度目の学生駅伝3冠と箱根史上3校目の5連覇を目指した青学大は、往路6位から歴史的大逆転Vを狙うも3分41秒差の総合2位。6区で山下りのスペシャリスト・小野田勇次(4年)が57分57秒の区間新記録をマークするなど、復路は全員が区間2位以上と5時間23分49秒の新記録で意地を見せた。

 強いビル風に立ち向かいながら、青学大の10区・鈴木は先頭を追った。往路は想定外の6位。首位と5分30秒差でスタートした復路は6区・小野田が区間新で勢いをつけた。7区は昨年MVPの林が区間賞で続き、アンカーまでに首位・東海大と3分43秒、2位・東洋大と8秒まで迫った。鈴木は3位でタスキを受け、2キロ過ぎで東洋大を捉えた。顔をゆがめながら懸命に腕を振り続けたが、届かなかった。総合Vは逃したものの、復路は全員が区間2位以上の快走で5年連続優勝。意地は見せたが、原晋監督(51)は「采配ミス。(ブレーキした)4区を甘く見ていた」と悔やんだ。

 往路を終えた夜、原監督は復路の選手に電話をかけ「平成の伝説をつくろう」と言った。だが、様子は明らかにおかしく、小野田は「あんなに弱気な監督を今まで見たことがなかった」と明かした。スタート前に「(6区の)残り3キロ、死ぬ気で走ります。逆転する気、満々です」と返したが、指揮官の反応は薄かった。前半から飛ばし、10キロ過ぎで「足が限界」に達した。残りはひたすら「東海、東洋に負けてはいけない」という気持ちで駆け抜けた。区間新の走りはチームに火を付け、復路新記録に結び付いた。

 過去のデータと比較し、原監督は今季のチームを「史上最強」と表現してきた。だが、成功体験を意識しすぎるあまり「チャレンジする気持ちが私の中で低下していた。選手に対するしつこさを失った」とも明かした。40~50分行っていた朝練が30分になるなど、練習が緩む時もあった。注意できる上級生がおらず厳しさが欠けたこともあった。「進化を止めると退化し、立ち止まると後退する。チャレンジ力が低下していた」。その一方で「他校からマークされながら、2番まで上がったことはタイム以上の強さ。そこは伝統が積み上がった。いい負け方をした」と前向きな気持ちも芽生えてきた。

 大会前に掲げた「ゴーゴー大作戦」は、まだ完結していない。「4日の午後5時5分からツイッターを始めます。陸上界、スポーツ界の在り方を提言したい。目指せ55万人フォロワー!」。4日にはTBS系の報道番組に出演予定で「総合2位でもテレビに出る。これも新しい挑戦」と胸を張った。青学スタイルを貫き、再び伝説をつくり上げる。(小林 玲花)

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