トップスイマー支えるハイテク競泳水着の歴史…バルセロナ五輪では「ハイレグ」進化

スポーツ報知
バルセロナ五輪第6日。競泳・女子400メートルメドレーリレー決勝。4分11秒48で7位入賞し、レース後に応援に応える日本チームの千葉すず(前列左、自由形、近大付高)、岩崎恭子(前列右、平泳ぎ、沼津五中)、肥川葉子(後列左、背泳ぎ、九州女大付高)、漢人陽子(後列右、バタフライ、浜松商高)

 アスリートを支える道具の進化が、五輪での結果を大きく左右するのは言うまでもない。競泳水着も年々進化を遂げ、本番までの短い期間でどれだけ機能を高められるかが、各メーカーの腕の見せどころだ。スポーツ用品大手のミズノは池江璃花子(18)=ルネサンス=、大橋悠依(23)=イトマン東進=らメダル候補と契約している。

 競泳の記録の進化は水着の進化とも密接に関わっており、時代とニーズに沿った開発競争がなされてきた。日本の選手たちも常に最先端の水着を着用して大舞台に臨んだ。

 ▼1964年東京 合成繊維のナイロン100%。横には伸びるが縦に伸びにくい素材。胸に大きな日の丸のワッペンがあり、水の抵抗を抑えるという概念にも欠けるものだった。

 ▼72年ミュンヘン 桜の花柄のプリントで日本らしさをアピール。背中の中央に縫い目を持ってきたことで、動きの制限が減った。

 ▼76年モントリオール 現代水着の原型。ポリウレタン弾性糸の開発で伸縮性が劇的にアップ。肩ひもの形状も肩甲骨を避けるデザインが採用され、動きやすさが増した。

 ▼88年ソウル 東レとミズノが低抵抗の新素材「アクアピオン」を共同開発。この頃から、流水抵抗を測定するなどテクノロジーも進歩を遂げた。

 ▼92年バルセロナ 「ハイレグ」の角度が深くなり、足の動きやすさがアップ。

 ▼2000年シドニー 米航空宇宙局(NASA)やサメの研究者なども加わり、サメの皮膚形状を参考にした「ファーストスキン」が誕生。全身を覆うフルスーツに、うろこ状のはっ水プリントを施し、水の抵抗を削減。14個もの世界新記録が生まれた。

 ▼08年北京 英Speedo社による「レーザーレーサー」が登場。立体裁断された3枚のナイロン素材を超音波で接着するシームレス(無縫製)のフルスーツ。体を強く締め付けて水の抵抗を極限まで抑え、23もの世界記録を生み出した。10年からFINA(国際水連)は全面的にフルスーツを禁止。

 ▼12年ロンドン ミズノは現在につながる適度な伸びのある布帛(ふはく、縦糸と横糸による織物)の素材を導入。適度な締め付けで体幹を安定させると同時に、軽量化にも成功した。

 ▼16年リオ デサントの「arena」ブランドはキック動作を補助する4本のバンドをつけた水着を開発。ミズノは生地が二重になっている部分を拡大して締め付け力をアップさせるなど、各社独自路線が顕著になった。

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