女子70キロ級・大野陽子、代表2枠目へ背水V

スポーツ報知

◆柔道 グランドスラム パリ大会最終日(10日・パリ)

 男女計7階級が行われ、女子70キロ級で18年世界選手権3位の大野陽子(29)=コマツ=が決勝でピノ(フランス)に一本勝ちして優勝した。男子100キロ超級でリオ五輪銀メダルの原沢久喜(26)は決勝で金成民(韓国)に一本負け。影浦心(23)=日本中央競馬会=は3位。同100キロ級のウルフ・アロン(22)=了徳寺学園職=は決勝で世界ランク1位のリパルテリアニ(ジョージア)に優勢で敗れた。女子78キロ超級の素根輝(18)=福岡・南筑高=は3位。今大会は世界選手権東京大会(8~9月)の代表選考会の一つとなっている。

 表彰台の頂点に立った大野は何度も涙を拭った。決勝の相手は昨年11月のGS大阪大会で消極的になり敗れていた地元のピノ。大観衆の容赦ないブーイングを浴びたが「同じことを繰り返さない」と攻め続けた。3分近い延長戦で一歩も引かず、3つ目の指導を引き出して試合を決めた。

 優勝を逃せば、代表争いから大きく後退する正念場だった。女子70キロ級は新井千鶴(25)=三井住友海上=が3連覇の懸かる今年の世界選手権代表に内定。ただ、7階級で最大9人派遣のため「2枠目」のチャンスは残されている。層の厚い52キロ級や78キロ超級などとの比較で与えられる2枠目を勝ち取るためにも、優勝が絶対条件だった中で執念を示し「勝ちにこだわった。金と銀の差がすごく大きいことを知っているので、ホッとしている」と声を震わせた。

 全日本女子の増地克之監督も「内容より結果が求められる大会で意地を見せた。2枠目をすごく意識した試合内容だった」と評価した。銅メダルだった昨年の世界選手権が初出場。遅咲きの29歳は、代表最終選考会を兼ねる4月の全日本選抜体重別選手権へ「しっかり勝って世界選手権につなげていけたら」と決意を込めた。

 ◆世界選手権の代表選考 昨年の世界選手権、GS大阪を連勝した選手は内定。女子52キロ級の阿部詩、同70キロ級の新井が条件を満たした。その他はGS大阪と冬季欧州大会の国際試合での実績に、4月の全日本選抜体重別などの国内成績を加えて総合的に判断。最重量級の女子78キロ超級、男子100キロ超級は、体重無差別で争う全日本選手権(女子4月21日、男子同29日)後に選考する。

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