【尾方剛の目】東京マラソン、世界との差を感じたレース

スポーツ報知
日本人トップの全体5位でゴールする堀尾謙介(カメラ・宮崎 亮太)

◆東京マラソン(3日、東京都庁スタート~東京駅前ゴール=42・195キロ)

 マラソンの怖さを知らないからこそ、堀尾が力を出し切れた。失うものはなく、プレッシャーもゼロ。ハーフの走力はあるので、その延長線としては相当の結果だろう。だが、勝負強さという点では経験不足。上位陣が崩れて日本人トップにはなったが、今後は注目されることもある。今回は「いい経験ができた」ぐらいの感覚でいてほしい。

 大迫は練習も十分に積めていなかったのではないだろうか。寒さ以外に、万全ではない状態だったと思う。強さを見せつけるチャンスだったが、もろさを露呈した。本来の力はどうであれ、悪条件に弱いという印象だ。MGCは終盤に上り坂の待つタフなコースなので、速さより強さが求められる。

 いずれにしても、世界との差を非常に感じるレースだった。日本人はお膳立てされたレースでしか記録が出ないような流れになっている。さらにMGC出場権を獲得しただけで安堵(あんど)している選手までいるのは、本末転倒だ。そういう意味では、学生が日本人トップになったことへの悔しさや情けなさを感じてほしいし、喜んでいる場合ではないことを認識する機会になったと思う。(05年ヘルシンキ世界陸上銅メダル、広島経大監督)

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