大迫傑、東京マラソン途中棄権も「挫折感じない」9・15MGCへ「努力していく」

スポーツ報知
1億円の褒賞金ボードと記念カップを手にする大迫傑(カメラ・太田 涼)

 男子マラソン日本記録保持者の大迫傑(27)=ナイキ=が7日、都内で日本実業団陸上連合から日本記録樹立に贈られる報奨金1億円の贈呈式に出席した。3日の東京マラソンを途中棄権して初めての公の場。棄権理由については明言を避けたが、前向きな言葉を並べて強気な姿勢をみせた。9日以降に再渡米して、9月15日に迫った東京五輪代表選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)へ向けて再出発する。

 1億円の褒賞金ボードも、大迫を笑顔にはできなかった。昨年10月、シカゴで2時間5分50秒の日本新記録を樹立し大金をゲットしたが、4度目のマラソンとなった東京では29キロ過ぎでレースを終えた。

 「結果としては残念。ただ、みなさんが思うほど打ちひしがれていたり、挫折を感じたりはない」

 雨中のレースとなった東京はスタート時の気温が5・7度。大迫が途中棄権した際の震える体からは寒さが一番の原因に見え、レース後は主催者を通じて「スタート地点から寒くなって、体が動かなくなり棄権せざるを得ない状況でした」と談話を発表した。

 「コメントは求められたから答えただけ。寒さはみんな同じ条件なので、しょうがない。深い理由があるわけではなく、レースを続けることの意味がなかった。必ずしもゴールすることがいいとは限らない」

 日本中の注目を集めたレース。心配する声も多いが、27歳の若武者は平常心を貫く。やるべきことを妥協なく遂行する。そのプロセスに揺らぎはない。

 「頑張っても結果が出ないことはある。難しさというより、その瞬間が僕に訪れた、というだけ。(シカゴ後)5か月間、やってきたことは間違っていない」

 東京五輪代表3枠中2人を決めるMGCまで約半年。9日には都内でランニング教室を開催し、その後は近日中に再渡米してトレーニングに備える。視線は既に過去にはない。

 「休むことも仕事だと思っているので、今は(MGCへ)実感がないし、考えていない。ただ、米国で練習を再開しても、これまでの4レースとやることは変わらない。今はポジティブな感情しかない。次に向けて努力していく」

 東京もMGCも、東京五輪ですら一つのレースに過ぎない。当たり前を積み重ねるだけ。最後まで大迫らしい考えを披露した。(太田 涼)

 ◆大迫の東京マラソン

 序盤は1キロあたりの設定ペースを2秒前後上回るペースメーカーが引っ張る先頭集団で落ち着いた走りを見せていたが、21キロ過ぎで脱落した。28.8キロ付近では苦しげな表情を浮かべて歩き、29キロ過ぎで棄権。レース後は体調不良を訴え、取材エリアを通らずに都内の宿舎へ向かった。4日に出演予定だったイベントもキャンセルした。

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