公務員ラストマラソンの川内優輝 びわ湖で雨を歓迎

スポーツ報知
びわ湖毎日マラソンに向け、抱負を語った川内優輝(左は佐々木悟)

 20年東京五輪マラソン代表選考会(MGC、9月15日)シリーズ最終戦でカタール・ドーハ世界陸上選考会の第74回びわ湖毎日マラソンは10日、滋賀・大津市の皇子山陸上競技場発着の42・195キロで行われる。4月にプロ転向を表明している最強公務員ランナーの川内優輝(32)=埼玉県庁=は9日、公式会見に出席。公務員ランナーとして最後のフルマラソンとなる今大会に向けて「2時間9分台前半、3位以内を目標に頑張ります」と意気込みを明かした。

 公式会見で司会者に「川内優輝選手、埼玉県庁」と紹介されると、立ち上がり「はいっ! よろしくお願いします」と勢いよく話した。レース当日の天気予報は雨。「雨は好きです。苦になりません」。昨年4月、冷たい雨が降ったボストンマラソンを制したタフガイは悪条件を歓迎した。同じように冷たい雨が降りしきった先週の東京マラソン(3日)について「ああいうコンディションで走りたかったですね」と豪快に笑った。29キロ地点で途中棄権した日本記録(2時間5分50秒)保持者の大迫傑(27)=ナイキ=については「スパッとやめるのもプロ」と判断を尊重。その上で「私は意識が続く限り、はってでもゴールを目指します。これまで自分の意思で棄権したことはありません。2011年のウルトラマラソン50キロでは気がついたときは救急車に乗せられて途中棄権したことがありますが」と持論を展開した。

 川内は3月末で埼玉県庁を退職し、4月からプロランナーに転向することを表明している。3月24日に地元の埼玉・久喜市で行われる久喜マラソンが公務員ラストランとなるが、同大会はハーフマラソンのため、公務員ランナーとしてのフルマラソンはびわ湖が最後になる。通算92回目のフルマラソン。そのうち2回は学習院大時代に走っているため、公務員としては90回目となる。「8年、埼玉県庁の名を背負って走ってきました。最初に埼玉県庁のユニホームを着たのは24歳で今は32歳になりました。ずいぶん年を取ったなと思うが、さらなる高みを目指し、埼玉県庁として区切りをつけたい」。充実感あふれる表情を見せた。

 ペースメーカーはやや遅めの1キロ3分2秒となる予定。「楽しみですね」と冷静に話した。

 4月には前年覇者として伝統のボストンマラソンに挑む。今秋には、MGCとドーハ世界陸上マラソン(10月5日)の連戦の可能性もある。「MGCかドーハ世界陸上のどちらかに出場したい、と考えています。2週間もありますから、出ようと思えば両方出られます」と1月には川内らしい“仰天プラン”も示している。MGCの出場権はすでに獲得しているが、ドーハ世界陸上の代表選手は未定。川内は暑さを苦手としているが「ドーハのスタート時間は真夜中(現地時間午後11時59分)ですからね。普通ではありえない時間。経験がモノを言うと思うし、好奇心があります」と前向きだ。

 2013年12月に福岡国際マラソンで2時間9分5秒で走った後、わずか中13日で防府読売マラソンで2時間9分15秒で走破した実績を持つ。「あの時はむしろ防府の方が調子が良かった」。

 4月から、いよいよプロ生活を送る。「大学、社会人と今まで陸上中心の生活を送ったことはない。プロになったらどういうことができるのかワクワクしている。夏を超えて秋になったら強くなっていると信じている」と目を輝かせる。MGCと世界陸上。どちらに出場するのか、あるいは連戦するのか。いずれにしても「川内プロ」が日本マラソン界をにぎわすことになりそうだ。

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