【増田明美の目】“マラソン研究者”福士さんの勇気に敬服

スポーツ報知
MGCの出場権を獲得し、ゴールタイムの前で笑顔を見せる福士加代子(代表撮影)

◆名古屋ウィメンズマラソン(10日、愛知・ナゴヤドーム発着=42・195キロ)

 日本陸上界初の5大会連続五輪を目指す福士加代子(36)=ワコール=が、2時間24分9秒で日本人2番手の8位。20年東京五輪とほぼ同じコースで行われる五輪代表選考会のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ、9月15日)出場権を獲得した。

 福士さんの勇気に敬服しました。大阪国際から6週間、確実にMGC出場権を狙うなら第2集団で走る選択肢もありました。転倒の影響も感じさせず、何事もなかったようにハイペースの先頭集団につく心の強さが結果につながりました。切り替えの早さは彼女の武器ですし、前回途中棄権で力を使い切らなかったのもプラスでした。

 福士さんの走りは体の角度、足の着地、腕振り、全てに無駄がないのが魅力です。体を操る天性の資質に加え、本当に研究熱心。自分の走りの映像を見て、上半身が力んでいるなどの課題を抽出して修正してきました。私から見れば“マラソン研究者”というべき選手です。

 今大会は5人がMGC切符を獲得。勢いと内容の良さも感じさせる好レースになりました。MGCはペースメーカーがつきませんが、序盤から世界との戦いを意識した積極的な展開を予想します。それだけの力を持った14人がそろったと思います。

 一発勝負では実績、力とも福士さんが引っ張る存在。トラック種目で実績を積んだ鈴木亜由子さん、松田瑞生さんは力があります。暑さを考えれば、ワイルドカードで出場権を目指す一山麻緒さんが強い。前田穂南さんも環境に左右されず走りだけに集中できる面白い存在です。(84年ロス五輪代表、スポーツジャーナリスト)

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