JOC新会長は山下泰裕氏が最有力 竹田恒和会長が任期満了での退任公表

スポーツ報知
2020年東京五輪招致疑惑の経過

 2020年東京五輪招致に絡む贈賄疑惑でフランス司法当局の捜査対象となっている日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長(71)が、19日に都内で行われたJOC理事会で、6月27日の任期満了で退任すると表明した。「世間をお騒がせして心苦しく思う」と述べ、東京五輪は若いリーダーで迎えることが最善と強調した。後任は、JOC常務理事で、選手強化本部長も務める柔道五輪金メダリストの山下泰裕氏(61)が最有力となっており、7月にも新体制が確立する見通しだ。

 1月に疑惑が再浮上してから2か月あまり。竹田会長は、都内で行われたJOC理事会の最後に、6月27日の評議員会の任期満了をもって退くことを表明した。「世間を騒がせて心苦しく思う。JOCの将来を思うと、次代を担う若いリーダーに託して、東京五輪を通じて、日本の新しい時代を切り開くことが最もふさわしい」と、理由を説明した。

 01年から会長を務め、現在10期目。6、7月の役員改選に向け「選任時70歳未満」の定年規定の改定が検討されるなど、当初は続投が確実視されていた。しかし、疑惑の再燃、問題の長期化で、竹田おろしの風が強くなった。「心苦しい」という一方で、辞意については「早い時期に固めていた」とも。疑惑との直接の関連性はあくまで否定した。

 JOC理事と同時に、国際オリンピック委員会(IOC)の委員も辞任する意向だ。「私自身は不正なことはしていない。今後も潔白を証明するために努力したい」。1月15日に潔白主張の会見を開いたが、捜査中を理由に質疑を受けず、7分あまりで打ち切り、火に油を注いだ。その後は国際会議を相次いで欠席するなど職務に支障をきたした。IOC幹部が極秘来日し、早期退任の必要性を伝えるなど圧力が高まり、実質的に“辞任”に追い込まれた。

 後任最有力の山下氏は「20年まで続けてほしかった。今後は新しいメンバーで話し合えばいいんじゃないか。後任? 今日話すことではないし、そういう状況ではない」と厳しい表情を浮かべた。後任は6月27日に選出される新理事の互選となり、7月4日の理事会で決まる。日本サッカー協会会長の田嶋幸三常務理事(61)を推す関係者もいて一枚岩ではないが現状、経験と人格、国際的な知名度の高さも買われ「世界の山下」を推す声が強い。

 本人は柔道界の発展と普及への専念を望み就任に慎重ともいわれるものの、環境が整えば受諾する方向とみられる。いずれにせよ、史上最多の金メダル30個獲得を目標に掲げる東京五輪まで残された日は少ない。

 ◆竹田 恒和(たけだ・つねかず)1947年11月1日、東京都生まれ。71歳。旧皇族・竹田宮恒徳王の三男で、天皇陛下のはとこ。慶大法学部政治学科を卒業後、馬術の障害飛越種目で72年ミュンヘン、76年モントリオール両五輪に出場。日本がボイコットした80年モスクワも代表入りした。2001年に第15代のJOC会長に就任し、現在は10期目。12年にIOC委員に就き、東京五輪招致委員会の理事長も務めた。家族は夫人と2男1女で、長男は憲法学者の恒泰氏。

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