東洋大の名スカウト佐藤尚コーチ慰労会にMGC獲得選手ら集結

スポーツ報知
今月末で退任する東洋大陸上部の佐藤尚コーチ(中央)の慰労会が行われ、MGC出場権を持つ設楽悠太(左)、山本浩之(右)

 3月末で退任する東洋大陸上競技部の佐藤尚コーチ(65)を慰労する会が23日、埼玉・川越市内のホテルで行われ、名スカウトとしてならした佐藤コーチが勧誘した選手約200人が大集結した。2020年東京五輪マラソン代表選考会(MGC、9月15日)の出場権を獲得した男子30人の中で、大学別出身では4人を輩出した東洋大が最多。10日のびわ湖毎日マラソンでMGC出場権を獲得した山本浩之(32)=コニカミノルタ=、マラソン前日本記録保持者の設楽悠太(27)=ホンダ=のMGC進出選手も駆けつけた。

 東洋大は箱根駅伝で2009年に初優勝を遂げた後、3位となった今年まで11年年連続で3位以内という抜群の安定感を誇る。佐藤コーチは酒井俊幸監督(42)とともにチーム強化に努めた。25年間の指導者生活で、特に手腕を発揮したのが、選手スカウトだった。

 福島・いわき総合高時代は卒業間際の全国都道府県駅伝1区で区間賞を奪うまで全国的にはほぼ無名だった「2代目・山の神」柏原竜二さん(29)をいち早く勧誘。2016年リオ五輪で日本男子マラソン史上最年長代表となった石川末広(39)=ホンダ=、同じくリオ五輪男子マラソン代表の北島寿典(34)=安川電機=や埼玉・川口北時代はサッカー部員だった山本浩ら高校時代は全国区ではなかった“才能の原石”を見いだした。今年の箱根駅伝8区3位と健闘した鈴木宗孝(1年)も神奈川・氷取沢高時代は長距離部員が4人しかいなかったため、駅伝経験がない異色の選手。さらには「知将」と呼ばれる酒井監督もかつては佐藤コーチが東洋大に勧誘した教え子だった。

 この日の慰労会は酒井監督が司会を務め、山本浩之、設楽悠太をはじめ、今年度限りで引退を表明した石川、設楽悠太の双子の兄・啓太(27)=日立物流=、柏原さん、服部弾馬(24)=トーエネック=、口町亮(24)=スバル=ら教え子のほか、東洋大前監督の川嶋伸次・旭化成コーチ(52)も駆けつけた。

 「日本全国47都道府県を回り、多くの選手と出会いました。その中には五輪に行った選手もいるし、酒井監督のように立派な指導者もいます。幸せな25年でした」。佐藤コーチは目を潤ませながらあいさつすると、万雷の拍手が沸き起こった。

 ◆佐藤 尚(さとう・ひさし)1953年4月29日、秋田・平鹿町(現横手市)生まれ。65歳。秋田工高では800メートルの選手として活躍。72年、東洋大に入学後、マネジャーに転身。76年に卒業後、秋田で就職し、営業マンとして活動。94年に東洋大監督に就任。2002年からコーチ兼スカウト。09年、東洋大が初優勝した箱根駅伝では監督代行として指揮した。

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