千代の国、高安に“逆転勝ち”初の大関撃破&バースデー白星
スポーツ報知

◆大相撲名古屋場所3日目 ○千代の国(小手投げ)高安●(10日・ドルフィンズアリーナ)
10日に28歳の誕生日を迎えた前頭2枚目・千代の国が逆転で大関・高安に今場所初黒星をつけた。夏場所12勝を挙げて敢闘賞の三重県出身の成長株が、ご当所の場所で大関戦6戦目で初勝利。バースデー白星で弾みをつけて4日目には3連勝の横綱・白鵬に挑戦する。
高安の下手投げで大きく体が泳いだが、千代の国は大きく両足を開いて踏ん張った。「まだまだと思っていた。出し切りました」。勝ったと思った大関の横に食らいつき、最後は捨て身の小手投げで大関戦初白星を手に入れた。風呂から上がっても荒かった呼吸が、激闘を物語っていた。
2013年名古屋場所5日目。碧山との一番で左太もも二頭筋を負傷。この日同様に足を開く無理がたたり、その後に三段目まで番付を下げる原因となっていた。一瞬、悪夢が頭をよぎったが、「大丈夫だったすね」と、5年前とは違う強さを身につけたことを実感した。
壊れない足は2年前に急逝した先代・九重親方(元横綱・千代の富士)が授けてくれた。高く足を上げる四股は昭和の大横綱をまねている。「足を高く上げる。上げた足を前に出す。重心が軸足に乗る。そうやってけがした下半身を鍛えて幕内に戻ってきた」。現九重親方(元大関・千代大海)も熱戦を土俵下で見届けた。「全部良かった。好感が持てるフレッシュさがあった」と絶賛した。
4日目は結びで白鵬に挑む。この日は28歳の誕生日とも重なり、お祝いのメールが「朝、いっぱい届いていました。帰ったら返信します」。最強横綱を倒せば、2日続けて大量の祝福の声が届くに違いない。(網野 大一郎)