平成最後の名古屋場所は異常事態…19年ぶり3横綱全員不在 さらに栃ノ心も負傷

スポーツ報知
栃ノ心(手前)を小手投げで破る玉鷲(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲名古屋場所6日目 ○玉鷲(小手投げ)栃ノ心●(13日・ドルフィンズアリーナ)

 横綱・鶴竜が右肘関節炎により名古屋場所6日目の13日から休場した。昨年九州場所以来10度目。稀勢の里、白鵬に続き3横綱全員が不在となったのは貴乃花、3代目若乃花、曙の1999年春場所以来19年ぶりで、昭和以降5度目の異常事態だ。横綱の不在は一人横綱の朝青龍が3日目から休んだ2006年夏場所以来。玉鷲に敗れた栃ノ心は新大関初黒星を喫し、右足親指負傷で休場のピンチとなった。関脇・御嶽海が唯一全勝を守って自身初の単独トップに立った。

 3横綱が立て続けに離脱した。鶴竜は早朝から名古屋市内の病院で診察を受け、日本相撲協会に「右肘関節炎で13日より2週間の安静休務を要する見込み」との診断書を提出し、今場所4人目の十両以上の休場者となった。師匠の井筒親方(元関脇・逆鉾)は2連敗した12日夜に相談を受けたと明かし「実は場所前から痛かった。(2場所連続優勝した)先場所は晴天だったのに嵐になった」と残念がった。3年連続で名古屋場所を途中休場。年6場所制(1958年)以降8人目の3連覇は消えた。

 場所前に稀勢の里が横綱ワーストの8場所連続休場。白鵬も右膝を痛めて4日目に離脱した。近日中に帰京して都内で精密検査を受ける鶴竜が去り「綱」が消えた。複数の横綱不在は朝青龍、武蔵丸が途中休場した03年名古屋場所以来。3横綱全員の不在は99年春場所以来だ。井筒親方は「横綱不在になってお客さんに申し訳ない」と平謝り。八角理事長(元横綱・北勝海)も「お客さんに申し訳ない気持ち。けがだけはうまいこといかないね。大関陣の奮起? (元々)自覚がなければダメな話だからね」と神妙に話した。

取組に負の流れ 負の流れは取組にも及んだ。栃ノ心が玉鷲の小手投げに屈して新大関初黒星。負けた事実よりも、右足親指を痛めたことが深刻だった。「膝が曲がった。でも膝より(右足親)指をちょっとね」。心配した同部屋の岩友親方(元幕内・木村山)に「折れてないと思うけど(関節が)外れたと思う」とつぶやき、右足を浮かせながら帰りの車に乗り込んだ。午後8時半には治療を終えて愛知・春日井市の部屋宿舎に戻った。部屋関係者は「大丈夫、いけます」と話したが、本人は無言で引き揚げた。14日朝に出場の可否を判断するもようだ。

 3横綱に加え1大関も休場となれば、99年春場所で大関・千代大海(現九重親方)が離脱して以来。当時も千代大海は新大関で今回と状況が重なる。平成最後の名古屋場所は前半から混迷を極めてきた。

 ◆1999年春場所の3横綱不在 曙が腰椎椎間板ヘルニアで3場所連続となる全休。10日目に左太ももを痛めた若乃花、11日目には貴乃花も右肩負傷で途中休場した。3横綱不在は、1950年春場所以来49年ぶりの緊急事態となり、当時の時津風理事長(元大関・豊山)が異例のおわび会見で頭を下げた。賜杯は13勝2敗で大関だった武蔵丸が手にした。

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