御嶽海が初黒星…物言い1分間協議 軍配差し違えで

スポーツ報知
高安(左)に突き落としで敗れ、初黒星を喫した御嶽海(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲名古屋場所12日目 ○高安(突き落とし)御嶽海●(19日・ドルフィンズアリーナ)

 関脇・御嶽海が大関・高安に敗れて今場所初黒星を喫した。軍配は土俵際で押し込んだ御嶽海に上がったが物言いの末、差し違えとなり初日からの連勝は11でストップ。前頭13枚目の栃煌山と朝乃山がともに敗れて3敗に後退したが、13日目に栃煌山と同じ3敗の前頭9枚目・豊山の対決があるため2日を残して関脇が優勝する初の快挙は消滅。大関・豪栄道は前頭6枚目・遠藤との3敗対決を制して2差追走。逆転で初の2度目のカド番優勝を狙う。

 御嶽海に悔しすぎる形で土がついた。右の出し投げで崩し、1回転した高安を押し込んだ。両者は土俵の外に同時に飛び出した。軍配が御嶽海に上がった直後に物言い。約1分の協議の末、「高安の指が残っており」と阿武松(おうのまつ)審判長(元関脇・益荒雄)が場内説明。差し違えの初黒星で今場所初めて相手の勝ち名乗りを聞いた。

 微妙だった。向こう正面に御嶽海が高安を押し込んだとき大関の両足は俵の上。指先が蛇の目を掃いたようにも見えたが審判長の判断は違った。「指先は残っていた? ハイ、そういうことです。体が残っていたという判断にしておいてください」とビデオ室の報告と他の4人の審判の意見を合わせて今場所の行方を左右する決断を下した。その上で「相撲内容は御嶽海ですね」と話した。

 内容で勝って勝負に負けた男は支度部屋で今場所初めて報道陣に背を向けてまげを結い直した。7つ目の質問が飛んだ時、落ち着いたのか口を開いた。「いいクールダウン」とまず冗談を飛ばし「(いい内容でも)大関に勝たなければ意味がない。もう一丁? しょうがない、しょうがない」と自分に言い聞かせた。

 この日の朝から緊張も垣間見えた。稽古後、口を開いても「もう終わってほしい」とジョークの中に弱気をにじませていた。関脇で初の13日目優勝の可能性が消え最短Vは14日目以降に持ち越し。それでも2差のリードは大きいが「意識? 全然」。このひと言はウソか本音か―。残り3日間の土俵で答えが出る。(網野 大一郎)

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