稀勢の里に芝田山親方が横綱復活3か条伝授

スポーツ報知
真剣な表情で稽古前に塩をまく稀勢の里(カメラ・酒井 悠一)

 左大胸筋負傷などで8場所連続休場中の大相撲の横綱・稀勢の里(32)=田子ノ浦=が3日、千葉・船橋市の二所ノ関部屋で一門の連合稽古に参加した。小結・玉鷲(片男波)を9勝1敗と圧倒。出場する意向の秋場所(9日初日・両国国技館)に向けて親方衆からは評価する声が並んだが、元横綱・大乃国の芝田山親方から横綱復活3か条が伝授された。稀勢の里は4日も連合稽古を行い、その課題を克服して不安説を一蹴する。

 角界屈指の馬力を誇る玉鷲を圧倒した稀勢の里を見ても、芝田山親方は冷静な視点で現状を分析した。「もう一つ、踏み込みからの決め手が欲しい。立ち合いで右から抱え込む形がね」と、復活に向けて中途半端だと口にした。同時に解決策も提示。横綱本来の姿を取り戻すためには勝負を決めるポイントがあると指摘した。

 〈1〉左を差す〈2〉右上手を取る〈3〉押して出る―。「一つ一つにメリハリがついていない。今は流れだけで取っている。この3点のところで、どう勝負するかだよ」と攻めの狙いをより明確にすべきだと力説した。

 復調が見えたからこそのダメ出しだった。完璧ではないものの、得意の左からの攻めは随所に見られた。「思い切り当たったけど硬い。いつもの横綱が戻ってきた」と玉鷲。稀勢の里の左おっつけで自分の体が浮いたと証言した。尾車親方(元大関・琴風)も、「左(攻め)が出れば足もついてくる」と評価し、今度こその気配を感じ取った。

 芝田山親方は稀勢の里に17年初場所後の横綱昇進時、雲竜型土俵入りを指導。同親方自身も90年春場所から4場所連続全休して同年九州場所で10勝するなど境遇は重なる。厳しい言葉は期待の裏返しだ。

 「(今後は)より厳しくやっていきたい」と修正の余地があることを横綱も暗に認めた。出場なら進退を懸ける初日まで1週間を切った。「魂を一つにして頑張るしかないよ」と語る先輩横綱の苦言を連合稽古2日目の奮闘で稀勢の里が金言に変える。(網野 大一郎)

スポーツ

×