71年の歴史で初の三賞該当者なし…嘉風「貴景勝はもらってもいい」

スポーツ報知
菅官房長官から総理大臣賞を贈られる白鵬(左)(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲秋場所千秋楽(23日・両国国技館)

 千秋楽の支度部屋には三賞受賞で喜ぶ力士の姿がなかった。71年の歴史で初めての該当者なしという異例の決定。三役で初の勝ち越しの小結・貴景勝は無条件と千秋楽で勝つ条件付きの2パターン、竜電は勝てば、2ケタ勝利の嘉風は無条件で推薦されたが、それぞれ選考委員の過半数を得られなかった。

 今場所は29年ぶりに3横綱が初日から4連勝するなど上位陣が安定したことが珍事の大きな要因。「若手がはね返されたということ。みんな頑張ってもらいたい。ただ上位がいいと引き締まる」と選考委員の1人の阿武松(おうのまつ)審判部長(元関脇・益荒雄)は説明した。

 11勝で終えた嘉風は「本音ではほしかったけど」とした上で「前頭15枚目に番付を下げ、これくらい勝って当然という評価。逆にありがたい」と前向きに受け取った。さらに「貴景勝はもらってもいい」と後輩を思いやったが、貴景勝自身は「人の評価は(自分では)どうしようもない」と恨み節はなかった。

 選考委員会に出席した藤島審判副部長(元大関・武双山)は「いつも厳しめに(選考を)やっている」。お情けで選出はしない、とばかりに毅然(きぜん)と該当者なしの正当性を主張した。

 ◆三賞

 戦後の相撲復活を促進するため、1947年秋場所に制定。受賞対象は関脇以下で勝ち越しが前提条件。横綱、大関を倒すか優勝に関係のある力士を倒す殊勲賞、優勝に次ぐ目覚ましい好成績を残す敢闘賞、優れた技能を発揮する技能賞の3つ。千秋楽に審判委員、相撲記者クラブらで構成された三賞選考委員会の投票で決定。賞金は各賞とも200万円。1人で三賞独占は92年初場所で初優勝した東前頭2枚目・貴花田(のちの横綱・貴乃花)ら5例ある。

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