貴乃花部屋の消滅決定 所属力士ら移籍全会一致で承認

スポーツ報知
日本相撲協会の臨時理事会が開かれて貴乃花親方の退職、弟子ら10人の同部屋から千賀ノ浦部屋へ移籍が承認された(代表撮影)

 日本相撲協会は1日、貴乃花親方(46)=元横綱=が退職すると発表した。「平成の大横綱」が角界を去ることになった。この日、都内で開いた臨時理事会で、力士8人ら計10人の千賀ノ浦部屋移籍が承認され、貴乃花部屋は消滅。貴乃花親方から出されていた退職の届け出も受理された。会見した八角理事長(元横綱・北勝海)は、貴乃花親方と一切話し合いができないまま弁護士を通じて退職手続きが進み、不本意な形で角界を去ったことを悔やんだ。

 最後まで会話をせず、貴乃花親方が相撲協会を辞めた。「私たち執行部は貴乃花親方と直接、面会して話をしたいと思いました。直接会って、話ができなかったことを残念に思います」。八角理事長は貴乃花親方の意思疎通の欠如を嘆いた。

 協会側は再三、対話を持ちかけていた。先週末には、貴乃花親方と面会する用意があることを代理人弁護士を通じて伝えたが、連絡はなかった。9月29日に所属先変更願(移籍届)作成のため貴乃花部屋に出向いた千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)にも、一緒に協会に来るように説得を要請していた。千賀ノ浦親方は1時間半やり取りしたが「(貴乃花親方は)その気持ちにならなかった」と明かした。この日を境に、書類のやり取りは協会の弁護士同士で行う異常事態になった。

 9月25日に貴乃花親方が会見し、退職意思を表明。協会は同27日までに全ての親方に5つの一門のいずれかに属することを求め、貴乃花親方だけ所属先が未定だった。八角理事長は同日までに受け入れ先が決まらなくても師匠を辞める必要がなかったとし、自身が属する高砂一門だけでなく5つの一門すべてが受け入れ可能だったと明かした。理事長は「いつか一緒に、この協会を引っ張っていくと思っていただけに残念でならない」と話した。

 この日の臨時理事会では、貴乃花の弟子らの移籍が承認された。所属先を失ったことで自動的に退職となったが、「引退届」を「退職届」に変更するよう協会に指摘されていたことについては結局、変更しないまま。「引退届」を「退職届」と読み替えることは法的に問題なしと双方の弁護士が確認して、この日付で受理された。

 「なんで辞めるんだ…。最初にそう思った」。腹を割って話すこともままならず、相撲界の宝を失うことになった八角理事長の言葉がむなしく響いた。(網野 大一郎)

 ◆貴乃花親方のこれまで 9月25日に都内で会見し、日本相撲協会に「引退届」を提出したことを明らかに。弟子の貴ノ岩に対する元横綱・日馬富士の傷害事件を巡り、内閣府に提出した告発状(その後取り下げ)の内容が事実無根であると認めるよう協会役員から要請され、拒めば親方を辞めなければならないと言われたことを退職の理由に挙げた。協会は圧力を否定した。協会は引退届が「退職届」ではなかったため受理せず。弟子らの千賀ノ浦部屋への移籍届も書類の不備を指摘した。

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