【尾車親方の目】慌ててしまったという結果…紙一重だった

スポーツ報知
栃煌山(左)にすくい投げで敗れた稀勢の里

◆大相撲九州場所 4日目 ○栃煌山(すくい投げ)稀勢の里●(14日・福岡国際センター)

 稀勢の里は開き直って前に出たのだろう。立ち合いは頭で当たり、生命線の左を差して右を抱え込む得意の形をつくった。技術的には右を抱え込んだ時に脇が開いてしまい、栃煌山の左の差し手を殺すことができなかった。肩越しに右を抱え込んだものだから、腰が高くなって体が浮いてしまった。最後は下手に振られて左肩から先に落ちてしまった。

 紙一重だった。短い攻防の中で稀勢の里の親指が1つ分だけ前に出ていれば栃煌山を寄り倒していたと思う。ひと呼吸置いて、右上手を取ってじっくり攻めていれば状況も変わっていたかもしれない。勝ちたいという気持ちが強かったのだろう。慌ててしまったという結果が4連敗という数字に残ってしまった。

 勝利の女神に見放されてしまっている。稀勢の里は苦しいと思う。この地獄のような経験は必ず生きると思って、もうひと花咲かせてもらいたい。(スポーツ報知評論家)

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