貴景勝、全勝で自身初の単独トップ

スポーツ報知
魁聖を突き落としで破り6連勝した貴景勝(カメラ・朝田 秀司)

◆大相撲九州場所 6日目 ○貴景勝(突き落とし)魁聖●(16日・福岡国際センター)

 小結対決に臨んだ貴景勝が、魁聖を突き落としで破って初日から6連勝。全勝で並んでいた前頭2枚目・栃煌山が敗れたため、自身初の単独トップに立った。関脇以下が6日目で頭ひとつ抜け出すのは、今年名古屋場所で初優勝した関脇・御嶽海以来。当時も3横綱が休場していた。7日目にはその御嶽海と対戦する。1敗で大関・高安、前頭13枚目・阿武咲ら6人が追う。

 最後は必殺の“左”で207キロの巨漢を沈めた。貴景勝は立ち合いで当たり、右のど輪で魁聖を押し上げると体を開きながら左からの突き落とし。今場所、そのタイミング、力強さが光る左の攻めで無傷の6連勝。「積極的にいけた」。栃煌山が敗れ6日目で単独トップに立った。

 175センチの小兵は、相手に差させず、まわしを取らせない相撲が身上。幕内・千代大龍が「がっぷり四つにさせない。相撲の天才」と絶賛する相撲は勢いを増すばかりだ。

 貴景勝の体にはテーピングがない。転機は2015年の夏場所。6連勝で迎えた幕下の7番相撲で足裏の皮がめくれないよう巻いた両足のテーピングが滑りV逸。当時の師匠で今場所前に日本相撲協会を退職した元横綱・貴乃花親方(花田光司さん)から「関節の動きをなぜ制限する」と指摘されたこともありテーピングをやめた。今でも「細かいケガはある」が前師匠の教えを守ると共に、毎日20種類以上のサプリメントを摂取するなどストイックさも好調の要因だ。

 関脇以下が6日目で単独トップに立ったのは、今年名古屋場所の関脇・御嶽海以来。同場所も3横綱が休場し、御嶽海が初優勝を飾っている。貴景勝にとっては“吉兆”データだ。土俵では表情を変えず「気持ちで負けないと思ってもメンチ切る必要はない」と言い切る。「相撲は6日で終わりじゃない。まだ倍以上あるので今はまったく関係ない」。勝ってもおごらず。冷静沈着な22歳が、本命不在の場所で台風の目となった。(斎藤 成俊)

 ◆関脇以下の6日目単独トップ 2018年は今場所の小結・貴景勝を含めて3度目。大関昇進を決めた夏場所の栃ノ心(当時関脇)、初賜杯を抱いた名古屋場所の関脇・御嶽海が記録している吉兆データだ。平幕では17年秋場所で前頭3枚目だった阿武咲が5日目に単独トップに立っている。

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