12代横綱・陣幕久五郎とは…来年1月4日から相撲博物館で「江戸時代後期の大相撲」展開催

スポーツ報知
「金龍山浅草寺奉額縮図」の陣幕久五郎横綱土俵入

 東京・両国国技館内にある相撲博物館(東京都墨田区横網1-3-28)では、来年1月4日から企画展「江戸時代後期の大相撲 ~阿武松から陣幕まで~」を2月15日まで開催する。

 博物館ではこれまで、「大相撲の幕開け」「雷電為右衛門と寛政の大相撲」と題した企画展で、江戸時代中期の大相撲を紹介してきたが、今回は、これらに続く幕末までの様相を探る。

 江戸時代後期、江戸を中心に町人文化が花開く中、大相撲には多くの観客が詰めかけ、絵師たちが競って力士を描いた。横綱の阿武松緑之助や稲妻雷五郎、陣幕久五郎をはじめとする力士たちは、歌舞伎役者と並ぶ江戸のスターだった。錦絵からは力士の風貌だけでなく、相撲場や観客の姿もうかがえ、江戸の庶民が熱狂した大相撲の世界が堪能できる。

 主な展示資料は、当時英雄取組ノ図(初代歌川国貞・画、6代横綱・阿武松緑之助、7代横綱・稲妻雷五郎、行司・9代木村庄之助)、稲妻雷五郎使用の化粧廻し、秀ノ山雷五郎 横綱土俵入之図(3代歌川豊国・画)、秀の山雷五郎使用の横綱、金龍山浅草寺奉額縮図(2代歌川国輝・画、12代横綱・陣幕久五郎)、力士力競(作者不詳)ほか、錦絵を中心に将軍の上覧相撲関連の資料など約85点が展示される。

 陣幕久五郎(1829~1903)は松江市出身の12代横綱。慶応3年(1867)に横綱免許を受けた幕末の強豪。引退後の明治33年(1900)、富岡八幡宮(江東区)に横綱力士碑を建立、現在まで続く横綱の代数を定めた人物でもある。陣幕の横綱免許を記念し、浅草寺(台東区)に横綱土俵入りを描いた縦165センチ、横320センチの絵馬が奉納された。巨大な絵馬は現存し、今回展示される「金龍山浅草寺奉額縮図」はその縮図。左端に名を連ねるのは陣幕の贔屓筋で、絵馬を奉納した人々である。絵馬と錦絵で横綱・陣幕の名が広く知らされた。

 博物館は、入館無料。1月13~27日は大相撲初場所、2月9日はNHK福祉大相撲、2月10日は日本大相撲トーナメントの観覧券がそれぞれ必要。開館は10時~16時30分。企画展は10月19日まで開催され、会期中の休館日は1月5、6日、2月2、3、11日。1月12日と2月8日の14時から展示解説が行われる。

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