稀勢の里、土俵人生で一番忘れられないのは「天皇賜杯を抱いた時」…引退会見一問一答

スポーツ報知
賜杯を手に笑顔の稀勢の里

 現役を引退した横綱・稀勢の里が16日、東京・両国国技館内の相撲教習所で、師匠・田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)とともに会見に臨んだ。この日の不戦敗で、横綱在位12場所の通算成績は36勝36敗97休。番付最高位として期待に応えられなかったが、19年ぶりに誕生した日本出身横綱として「いい環境、歓声の中で相撲を取れたことは、力士として幸せなことでした」と感謝した。

 ◆稀勢の里に聞く

 ―昨日から引退までの気持ち、心の動きは。

 「もうやり切った、という気持ちが一番最初に出ました」

 ―17年間の土俵人生を振り返って。

 「本当にいろいろな人に支えられて、一人じゃここまで来られなかったと思います。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

 ―引退を決断をした今の心境は。

 「(大好きな人気漫画・北斗の拳に登場するラオウの名セリフを意識したかのように)私の土俵人生において一片の悔いもありません」

 ―一番心に残っていることは。

 「もうありすぎてね、なかなか思い出せません。やはり、稽古場が僕を強くしてくれたので、稽古場での思い出が今でも残っています」

 ―場所前の体の状態、けがの状況などは。

 「けがをして以来、自分の中では一番良い動きができていた。自信を持って臨めました」

 ―けがから2年。けがを抱えながらどういう思いで横綱を務めてきたか。

 「こうして横綱に上げてもらった。このまま潔く引退するか、ファンの方たちのために相撲を取るか、いつも稽古場で自問自答してましたが、やはり応援してくれる方のために相撲は続けようと。そういう覚悟を決めてやってきました。このような結果になって、本当に申し訳ない」

 ―先代師匠の故・鳴戸親方にどう引退を報告するか。

 「本当に感謝の気持ちを伝えたい」

 ―横綱になったら見える景色が違うと先代から言われてきた。実際に横綱になってみて、どう感じたか。

 「やはり大関と横綱というのは、全く違うものでした。ですが、先代の見ていた景色はまだ見えなかった」

 ―横綱はどういう地位か。

 「自分自身を、変えてくれました」

逃げない諦めない  ―土俵人生で貫いてきた信念は。

 「絶対に逃げない、諦めない、その気持ちです」

 ―涙はどういう気持ちからか。

 「ふ~。いろいろな人に支えられたなと思いまして。先代を始め…、思い出すとどうしても…」

 ―横綱になって何が変わったか。

 「大関時代、幕内、十両もそうですけど、全く環境が変わりました。自分の意識も変わりました。本当に自分自身が変わったなと。意識の部分もそう。説明しにくいですけど、自分を本当に変えてくれたなと思います」

 ―新弟子で通った相撲教習所での会見。入門した頃の思い出は。

 「関取に上がりたい、早く大銀杏(おおいちょう)を結いたい、ただその気持ちだけでした」

 ―日本出身横綱としての期待が重圧だったのか。

 「いい環境、歓声の中で相撲を取れたことは、本当に力士として幸せなことでした。本当に良かったです」

 ―17年間の力士人生。誇れるものは。

 「一生懸命、相撲を取っていたこと。ただそれだけです」

 ―今までの力士人生で一番忘れられなかった光景は。

 「天皇賜杯を抱いた時です。うれしかったです」

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