高安、兄弟子・稀勢の里の敵取った「今日は負けられない気持ちで取りました」

スポーツ報知
前日に稀勢の里を破った栃煌山(右)を、気迫のこもった突き押しで攻める高安(カメラ・川口 浩)

◆大相撲初場所 4日目 ○高安(突き出し)栃煌山●(16日・両国国技館)

 稀勢の里の弟弟子の高安が、栃煌山を突き出しで下して2勝目。兄弟子が引退を表明した節目に、前日(15日)に稀勢の里を下して引導を渡した相手を気迫で破った。昨年は3度の優勝次点がありながらも賜杯には届かず。「恩返ししたい」と語る初場所で意地を見せる。

 兄弟子の去った土俵で、高安が鬼の形相を見せて白星をつかんだ。立ち合いから突き押しで反撃の隙を与えなかった。3日目に稀勢の里に引導を渡した栃煌山を突き出し、敵を取った。「ひとつの節目ですので。今日は負けられない気持ちで取りました」。取組後は多くを語らない大関が、熱い思いを吐き出した。

 初土俵だった05年春場所、すでに稀勢の里は幕内力士だった。「常に自分の上にいてくれた。そこに目標があった。連日の厳しい稽古にも、横綱がいてくれたから耐えられた」。互いに関取となって9年。最近では稽古で横綱に胸を出して砂まみれにするなど、互いに高め合ってきた。

 鮮明に思い出されるのは2年前の初場所。稀勢の里が初優勝を飾った日の優勝パレードだ。「オープンカーに一緒に乗せていただいた光景が、今も色濃く残っている。その景色を拝めるよう、一生懸命やっていく」。昨年は3度の優勝次点と、賜杯まであと一歩に迫った。

 兄弟子は会見で「(高安は)もう一つ上がありますから。力になりたいなと。まだまだこれからだぞと、そう言いたい」とエールを送った。初優勝の時は「高安を大関に引っ張り上げるのも自分の使命」と語り、有言実行した。

 荒磯親方となった稀勢の里から、当面は部屋で指導を受ける。初優勝、そして将来の横綱昇進に向けても強力な指導体制だ。「もちろん、明日からも恩返しできるよう全力を尽くしたい」。決して弱音を吐かなかった兄弟子のように、強い気持ちで戦い続ける。(大谷 翔太)

スポーツ

×