電撃復帰の高橋大輔が会見「誰かのためではなく自分のためにやりたい」

スポーツ報知
現役復帰を発表した高橋大輔

 フィギュアスケート男子の10年バンクーバー五輪銅メダリストで、1日付けで競技会への現役復帰を電撃表明した高橋大輔(32)が、同日午後8時半から都内ホテルで記者会見を行い、復帰理由などの経緯や心境を語った。

 会見にはテレビカメラ7台を含め、約70人の報道陣が詰めかけ、高橋は上下黒色のスーツ姿で登壇した。3大会連続で五輪に出場した2014年ソチ大会を最後に28歳で惜しまれながら現役を退いた。競技会での演技は2014年ソチ五輪が最後で、その後は日本で開催された世界選手権にはけがで欠場し、同年10月14日に引退。4年ぶりに復帰を決意した報道陣との主なやり取りは以下の通り。

 ―復帰を決めた理由は。

 高橋「現役に戻りたいなと最終的に決断したのは昨年の全日本選手権の後。もう一度やってみようかなと。(選手たちが)やるべきことに全力をかけてやっている姿を見ていて(テレビのリポーターなどをしていたことから)『これが本当に自分のやりたいことなのかな』という気持ちが膨らんできた。

 ―ソチ五輪後は。

 高橋「サッパリした気持ちで次(の人生を)迎えてなかった。この4年間過ごしていく中で、『次に進むためにもう一度、現役やってから、納得してから次に行かなきゃいけない』と。

 ―決断に至るまでの葛藤は。

 高橋「復帰を決めてからは現役に戻ることだけを考えて過ごした。不安な気持ちはずっとついてくるけど、自分の中ではスッキリした気持ち。4月から徐々にスタートして非常に充実した日々を送れている」

 ―刺激になった選手は。

 高橋「みんなですかね。いまの自分としては世界と戦うレベルに戻すことは困難だと感じながら過ごしてきた。スタートの時は体が言うこと出来ず『本当にやっていけるのか』と思ったけど。ジャンプが戦う上で必要になってくるのでネイサン・チェン選手のジャンプは研究させてもらいます」

 ―けがなどつらい経験もあったが、それでも決断した。

 高橋「自分はフィギュアスケートが軸にないとダメだな。今後の生活をしていく上で、しっかりしたものを持っていなければ自分らしく過ごせないと思った。上から目線になってしまうけど、今までは『期待に応えたい』という部分で戦っていたけど、これからは『自分自身のために、だれかのためにではなくやりたい』と思った。わがままですけど、自分自身ためにやっていきたい」

 ―同世代の浅田真央さんに報告は。

 高橋「真央だったりノブ(織田信成さん)だったり、ギリギリになってですけど報告しました。コーチには年末に『実は現役をやりたい』と報告して。そこしか見えてなかったのでだれかに相談してやるということはなかった。

 ―目標は。

 高橋「まずは(12月の)全日本選手権を目指したい。いまの段階では難しいと思ってるけど、あと6か月で4年間のブランクをどれだけ縮められるか。やれることを精いっぱいやりたい」

 ―どういうスケーターに。

 高橋「いまの自分の立場だったら、30(歳)も超えて、なかなか成長は難しいけど30でもこれだけ成長できるんだよと、12月が終わった時に見せられるようにしたい」

 ―国際大会には。

 高橋「いまは考えていない。もしかしたら気持ちに変化はあるかも知れないけど、世界というより日本の中でどれだけ戻れて成長できるかというところ」

 ―ジャンプの種類は。

 高橋「4回転は2本ぐらいは滑れるようにしておかないと(笑い)。でも現役の後半よりいいんじゃないかってぐらいジャンプはいいと思う。あまり急にやり過ぎても体に支障あるけど、状態としてはいいぐらい。希望ですけど、2種類を2回ほど入れられれば(苦笑い)」

 ―ソチ五輪後を振り返って。

 高橋「(ここまで)4年間ありましたけど、前半の2年間はまったく現役復帰も浮かんでこなかった。昨年の1年間で『やりきれてなかったのかな』と気づいた。ソチはただただ応援する気持ちでいて、現役に戻っても、そことは勝負できないだろうなと。別次元だった。悔しがったり、喜んだりする姿がいいなと思って、また味わいたいなと、刺激になった。僕も喜びの中で終われたらいいなと」

 ―世界の舞台には。

 「いまの時点では先は考えられない。ただ、もしですよ、もし、チャンスがあるなら、そこに出るべきなのかどうか考えてから決めたい。後輩スケーターの邪魔もしたくないので」

  ―4年前の引退表明では満身創痍(そうい)でもあった。

 「この間にダンスもしていたし体の中での変化はある。いままでしなかった筋トレで補強する筋肉作りもしている。いままでとは違う作り方をしてて、まったく違う体で復帰に向かっている」

 ――平昌五輪金の羽生結弦選手、同銀の宇野昌磨選手らに勝ちたい?

 「そりゃあ、勝てるものなら勝ちたい。けど、勝てる気はまったくない。そうなったら食らいついていきたいですけど。イチからのチャレンジャーだし、無くすものもないし。メダリストに勝てれば儲けもの(笑い)。ただあそこは別次元。だれが見ても世界を引っ張っている。同じレベルでは…。12月の全日本選手権で入れたら、最終グループで入って、いっしょに6分間練習したいな」

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