【岡部孝信の目】小林陵侑、安定感増し複数回優勝ある

スポーツ報知

 スキージャンプ男子の小林潤志郎(26)、伊東大貴(32)=ともに雪印メグミルク=が14日、W杯開幕戦のビスワ大会(ポーランド・17日開幕)に出場するため、新千歳空港から羽田経由で渡欧した。本格シーズンを前に、長野五輪団体金メダリストでスポーツ報知評論家の岡部孝信氏(48)=雪印メグミルク・スキー部コーチ=が今季の日本勢の戦いを展望した。

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 今シーズンは、国内戦の成績を見ても、若手の成長が目立っている。小林陵侑(土屋ホーム)、佐藤幸椰(雪印メグミルク)、中村直幹(東海大)…。中でも陵侑は、W杯でも優勝できるレベルまで上達。踏み切り時の動きにミスがなくなって安定感が増し、さらに踏み切りでの動作スピードも速くなっている。膝の痛みを抱えているのが心配だが、うまくケアをしながら戦っていけば、今シーズン複数回の優勝も期待できる。

 佐藤、中村もコンチネンタル杯(W杯下部大会)、サマーグランプリで徐々に結果を出し、自信を持って試合に臨めるようになってきた。以前は試合に向けたコンディショニングで迷いながらやっていたが、試合で最も体が動く調整方法を確立しつつあり、W杯では上位を狙えると思う。

 とはいえ、やはりベテラン組の葛西紀明(土屋ホーム)、伊東大貴(雪印メグミルク)、竹内択(北野建設)、この3人の存在感も頼もしい。葛西は調子の上がらない夏場ではあったが、冬にきっちり上げてくるのがレジェンドたるゆえん。計り知れない経験値と調整力で浮上するだろう。

 伊東は昨シーズン肩の脱臼とケガに泣かされたが、シーズンオフから筋力、体幹、バランス、陸上のトレーニングを重視して取り組んだ結果、踏み切りで上半身の無駄な動きがなくなり、例年になく良い仕上がりでシーズンインできそうだ。W杯優勝で返り咲きを!

 もう1人、忘れちゃいけないのが小林潤志郎(雪印メグミルク)。助走姿勢の重心が微妙にズレており、悪くはないのだが、試行錯誤が続いて納得のジャンプができない夏のシーズンだった。だが、サマージャンプ最後の練習で雪上戦のイメージができた。開幕戦Vがあってもおかしくない。(長野五輪ジャンプ団体金メダリスト)

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