葛西紀明「ちゃっかり」まな弟子・小林陵侑と表彰台へ

スポーツ報知
帰国し笑顔を見せる葛西紀明(右)(左は力強い握手に痛がる小林陵侑)

 スキージャンプ男子の葛西紀明(46)、小林陵侑(22)、女子の伊藤有希(24)=いずれも土屋ホーム=らが18日、遠征先の欧州から成田経由で新千歳空港に帰道した。葛西は16日のW杯個人第7戦エンゲルベルク大会(スイス)で30位に入り、今季初の得点を獲得。年末年始に行われるジャンプ週間、来年2月の世界選手権(オーストリア)に向け、地元・北海道で英気を養い、まな弟子・陵侑との表彰台独占を思い描いた。

 北海道に降り立った葛西の表情は、晴れやかだった。今季は夏場から不調で、11月のW杯開幕戦(ポーランド)では予選落ちを味わったが「何も考えずに構えるようにしたら、当たりが出るようになった」。7戦目にして得点を獲得し「1ポイントゲットできた。ようやく飛べてきた」と復調の兆しをつかんだ。

 24歳差のまな弟子からは、大きな刺激を受けている。成長を見守ってきた陵侑が、今季W杯初優勝を含む4勝をマーク。歴代の名選手になぞらえ「昔のニッカネン(W杯通算46勝)、アホネン(同36勝)の域で、無敵。6勝(葛西が持つ日本人男子のシーズン最多勝利記録)をちょちょいのちょいと抜かして、世界一になって欲しいね」と褒めたたえた。

 帰りの飛行機では、自身の経験も踏まえ「トップに立つと、どう(成績を)安定させるか不安になる。練習で無理しないよう『大丈夫だから』と伝えた」と、“王者のメンタリティー”を伝授。兼任監督としても、さらなる成長を求めている。

 そんな陵侑と表彰台に立つのは、一つの目標だ。来年の世界選手権では男女混合団体も行われるため「陵侑や有希に飛んでもらって、ちゃっかりメダルを取らせてもらう作戦で」と冗談交じりに笑い、衰えないメダルへの意欲もにじませた。

 この日は約100坪の葛西邸にチームで集まり、陵侑の祝勝会を開いた。「負けないぞって感じ。ジャンプ週間は伝統がある試合。もっと出場して、伝統に伝説をぶちこみたい」。つかの間のオフを挟み、レジェンドたるゆえんを世界に示していく。(宮崎 亮太)

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