帰ってきた強い高橋大輔、ジャンプ全3本着氷し今季自己最高で2位

スポーツ報知
男子SPの演技を終え、笑顔でポーズをとる高橋大輔(カメラ・渡辺 了文)

◆フィギュアスケート 全日本選手権 第2日(22日、大阪・東和薬品ラクタブドーム)

 男子ショートプログラム(SP)で、5年ぶりに出場した10年バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔(32)=関大KFSC=は、今季自己最高となる88・52点で2位につけた。3本のジャンプを全て成功させ、表現力を示す演技構成点では45・14点の高得点をマーク。2位だった12年大会以来、6年ぶり表彰台と、自国開催の19年世界選手権(埼玉)代表入りを視界に捉えた。フリーは24日に行われる。

 緊張が解けた。演技を終え、両手を広げた高橋の表情がふっと緩んだ。「ミスなく終えられて、良かったという安心感だけ。あとはありがとう、という気持ち」。5年ぶりの全日本。引退前と変わらない「大ちゃん、ガンバ~」の歓声が身にしみた。「これだけ(5000人超)の方に声援をしていただくのは、こんなにもうれしいことなんだ」。今季SP自己最高点で応えられた充実感が胸に広がった。

 「表現は年齢に関係なく成長できる」。坂本龍一作曲「ザ・シェルタリング・スカイ」のしっとり切ない音色に乗った。ジャンプ3本は全て成功。「スピン、ステップや、プログラム全体での感情移入は、今季で一番良い出来だった」と滑りでも魅了した。

 長光歌子コーチ(67)は「若い時は若い時の良さがあるし、今は(アイスショーで)ダンスとか歌舞伎の要素とかを吸収した上での良さもある」。ステップは、05年NHK杯(SP)で史上初めて最高評価のレベル4を獲得した代名詞だ。SPの演技構成点は、全体2位の45・14点。表現力で3位以下に差をつけ、好発進につなげた。

 当初、復帰ロードの目標は全日本のフリー最終組(SP上位6人)。気持ちは、徐々に変わりつつある。宇野が優勝したNHK杯(11月、広島)を生観戦し、最高峰の戦いに心を揺さぶられた。「世界の壁は本当に厚いなと改めて感じた。同時に、こんな中で戦ってみたいという気持ちも正直出てきた」

 まだ“先”を見てみたい。全日本SPを終え、「力を出し尽くす戦いは、やっぱり心地よい。できれば長くやっていたいと思う感じもあった。近畿、西日本、全日本と緊張が高くなる。もし世界で戦うなら、より一層心地よい」との思いを強くした。

 表彰台なら13年以来の世界選手権切符が近づく今大会。24日のフリーは、公式練習で調整してきた4回転トウループを投入する考えでいる。「今のところ、気持ちとしてはやりたいと思う。自分の100%を出さないと、表彰台も見えない。高橋大輔ってレジェンドって言われるだけあるな、っていう感想をもらえたらうれしい」。32歳が開く新境地。バンクーバー五輪銅メダリストが、再び上りつめていく。(細野 友司)

 ◆高橋大輔の世界選手権への道 全日本3位以内で、日本代表の選考対象となる。今季は国際大会に出場していないため、仮に世界選手権に出場することとなれば、ISU(国際スケート連盟)が定める最低技術点(SP34点、フリー64点)を国際大会で取らなければならない。1月のトルンカップ(ポーランド)、2月のババリアン・オープン(ドイツ)などに出場し、条件を満たす戦略が考えられる。

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