盛岡工・熊谷萌、女子500メートル初V 東北勢64大会ぶり快挙

スポーツ報知
レース後、笑みを浮かべる盛岡工・熊谷

◆スケート全国高校選手権 第2日(23日、福島・磐梯熱海スポーツパーク郡山スケート場ほか)

 女子500メートルで熊谷萌(岩手・盛岡工3年)が40秒16の好記録で初優勝。2位に0秒79の差を付け、東北勢では1954年度の藤田幸子(青森・八戸東)以来、実に64大会ぶりの快挙を飾った。3位には山形中央1年の古川幸希が41秒56で入った。男子500メートルは前回2位の森重航(山形・山形中央3年)が36秒93の3位。同5000メートルは森野太陽(山形中央2年)の6分59秒05の4位が最高だった。

 今までの鬱憤(うっぷん)を晴らすかのような圧巻な滑りを熊谷が見せた。スタートから3歩目で「軽いつまずきがあった」というが、それを感じさせない加速で100メートルを10秒70で通過すると、トップスピードで残り1周400メートルを回り40秒16。2006年トリノ五輪8位などの活躍を見せた大菅小百合が98年に出したリンクレコード(41秒14)を約1秒上回る快記録。2位の長崎叶和子(北海道・池田)にも0秒79差をつける圧勝で優勝を決め「楽しんで滑り切れたので良かった」と笑みを浮かべた。

 東北勢としては1954年度以来、64大会ぶりの同種目のタイトル。全国中学大会も優勝し、北海道の強豪校からも声がかかっていた熊谷だが「慣れ親しんだ環境で勝負したい」と地元の盛岡工を選択した。1、2年時は座骨付近の筋肉の故障などもあり、ともに2位。「勝つためには故障しない体が必要」と体幹や専門のトレーナーによるトレーニングで筋力強化に励み、1年間通して練習できる強い体を手に入れた。白樺学園高時代、同じ会場で行われた総体500メートル2位だった植津悦典監督(38)は「精神的にも肉体的にも強くなった。指導者として勝ちたいという夢もかなえてくれた」と目を細めた。

 2月にはイタリアの国際大会にも出場するホープは今春から山梨学院大に進学。「22年北京五輪に出て、26年五輪はメダルを取る」と夢を描く。24日にも1000メートルに出場する予定。元々短距離が専門の熊谷だが「練習はしてきた。優勝を狙って行きたい」と力強く言い切った。(遠藤 洋之)

 ◆熊谷 萌(くまがい・もえ)2000年12月1日、岩手・滝沢市生まれ。18歳。盛岡工高3年。元国体選手の父・元さんの影響で滝沢二小1年からスケートを始める。滝沢二中3年の16年全国中学大会500メートル優勝。同年リレハンメル・ユース五輪500メートル8位。国体は17年長野、18年山梨で少年女子500メートル連覇。157センチ、58キロ。家族は両親。趣味は中学まで習っていたピアノと音楽鑑賞。

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