高梨沙羅が最多更新56勝!岡部氏は世界選手権での金争いに太鼓判

スポーツ報知
沙羅の今季W杯個人戦と今後の予定

◆W杯スキー(10日)

 ジャンプ女子はスロベニアのリュブノで個人第15戦(HS94メートル)が行われ、18年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(22)=クラレ=が89・5メートル、82・5メートルの合計223・9点で今季初優勝。通算56勝目で、男女通じての歴代最多を更新した。98年長野五輪男子団体金メダルの岡部孝信氏(48)=雪印メグミルク・スキー部コーチ=は、沙羅の復調要因を助走の改善と指摘。世界選手権(20日開幕、オーストリア)に向け、平昌五輪女王のマーレン・ルンビ(ノルウェー)との金メダル争いに太鼓判を押した。

 沙羅が頂点に返り咲いた。強風が吹き、何度も中断を挟む難しい状況で集中力を切らさなかった。昨年3月以来の優勝でルンビの連勝を6で止め「新しい自分のジャンプを探して試行錯誤してきた中で、ようやく結果につながった。この1位は今まで取った1位よりも、格別なもの」と声が弾んだ。

 今季15戦目で初勝利。スポーツ報知で評論を担当する岡部氏は復調の要因を挙げた。

 岡部氏「最近、状態が上向きなのは、アプローチの姿勢がいい位置になっているから。以前はお尻がテイクオフ前に低くなりすぎていて、(踏み切り後に)上半身が浮いていた。今は少しお尻が上がり、空中に飛び出す方向が良くなっている」

 平昌五輪はルンビ、アルトハウス(ドイツ)に次ぐ3位。昨季は2強の壁を感じ続けた。今季も個人総合では首位ルンビ、2位アルトハウスに次ぐ3位。世界選手権に向け、差は埋まっているのか。

 岡部氏「アルトハウスは調子を落としている。金メダルは、ルンビとの争いになるだろう。沙羅はまだ好調とは言えない中で、ここまで戦えている。平昌の時と比べたら、勝てる要素はある」

 世界選手権会場のゼーフェルトは、アルプス山脈北麓。男子代表の宮平秀治ヘッドコーチ(45)は「(アルプスを越えて吹く)フェーンの風がイタリアから来て、突風が吹くこともある」と説明する。不規則な風で勝つには、確かな技術が必要。今回の勝利は自信になったはずだ。

 岡部氏「僕の知る限り風が荒れる。強い風が吹いたり、逆に突然風がなくなったりもする。風が不安定だった今回も飛び出しの向きが良いから、条件の悪かった2回目も82・5メートルまで飛んで行けた。世界選手権まであと1週間あるから、さらに良くなると思う」

 沙羅はW杯個人総合で4度の優勝を飾る一方、世界選手権は13年の銀メダルが最高。まだ見ぬ頂点が、22年北京五輪金メダルへの大事なステップになる。

スポーツ

×