【岡部孝信の目】小林陵侑１１勝、欧州勢は２０日開幕世界選手権に合わせてくる

◆Ｗ杯スキー（１７日）

　ジャンプ男子はドイツのビリンゲンで個人第２２戦（ヒルサイズ＝ＨＳ１４５メートル）が行われ、今季個人総合首位の小林陵侑（２２）＝土屋ホーム＝が１４６メートル、１４４メートルの合計２７４・４点で今季、通算ともに１１勝目を挙げた。男子のシーズン１１勝は史上６人目で、日本勢では初。表彰台も今季１６度目で、９８―９９年季の船木和喜（４３）＝フィット＝の１５度を上回る日本勢最多記録となった。早ければ次戦のオスロ大会（３月１０日）にも、日本男子初の個人総合優勝が決まる。

　＊　＊　＊　＊

　陵侑は、２回目がミスなくいいジャンプが出来ていた。１回目は踏み切りの時、好調時よりも少しだけ上半身が上に出て、スキー板も一瞬立った感じが見受けられた。２回目は条件に恵まれずに飛距離こそ１回目よりも短かったが、うまく技術的に修正ができていた。シーズン１１勝にまで到達できたのは、チームのケアのおかげもあり、心配していた膝の痛みが出ずにやれている部分も大きいだろう。

　世界選手権の個人戦で陵侑を脅かせる可能性があるのは、個人総合２位で平昌五輪金メダルのストッフ、地元オーストリア勢で個人総合３位のクラフト。さらに、チームとして調子を上げているドイツ勢。欧州勢は世界選手権にぐっと合わせてくるのがうまいので、今後の仕上がりがどうなるか注目される。

　団体戦では、陵侑の兄の潤志郎が調子を戻しつつある。ドイツやポーランド、オーストリア、ノルウェーなどと表彰台を争いたい。（９８年長野五輪団体金メダリスト、雪印メグミルク・スキー部コーチ）