紀平、史上最年少&女子初3冠へ「完璧」見せる

スポーツ報知
公式練習で演技する紀平梨花(カメラ・相川 和寛)

 紀平はいとも簡単に、次々と大技を降りた。午前の練習で6本、午後は9本、計15本のトリプルアクセルを着氷し、好仕上がりをうかがわせた。今大会を制すれば、08年大会の浅田真央さんの17歳を抜き、日本女子史上最年少優勝。GPファイナル、四大陸選手権を合わせ女子初の3冠も達成する。「SPとフリーを完璧にそろえたら優勝も見えてくると思う」。今季はSPに1本、フリーに2本組み込むトリプルアクセルをミスなくそろえた試合はない。思いは一層、強くなっている。

 シニア1年目にして、ここまで国際大会6戦全勝。圧倒的強さで今大会も優勝候補に名前が挙がる。重圧があってもおかしくないが「プレッシャーは感じない。今できることを、このリンクで緊張しないようにやりたい。疲れとかもなく、いい体調」。驚くほど自然体だ。

 2月下旬から10日間、標高1000メートル以上の米コロラドで最後の合宿。空気の薄い高地で、多い時は1日約4時間も滑り込んだ。ジャンプだけでなく、フリーの振り付けも見直し「ステップはかなり細かな角度、表情も出せたら」。バレエやダンスのレッスンも行い、表現力にも磨きをかけた。

 スケート靴のエッジ(刃)の調整にやや苦戦中も、自ら電動ドリルを使いこなし、本番までに最善の位置を探っていく。四大陸選手権で負傷した左手薬指は完治しておらず、ギプスがはめられたまま。万全のコンディションとは言えないが、母・実香さんには「五輪には魔物がいる。(22年北京五輪までに)世界選手権で五輪の練習が3回できると思って」と声をかけられた。何事も次につながると信じ、立ち向かう。今季、国際大会全勝締めへ「日本で滑れることはすごくうれしい。いい演技ができたら」。16歳が、新たな記録へと挑む。(小林 玲花)

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