紀平梨花、まさかの7位…3回転半不発 フリー最大の逆転劇へ「やるしかない」

スポーツ報知
女子SPで7位となった紀平梨花(カメラ・相川 和寛)

◆フィギュアスケート 世界選手権 第1日(20日・さいたまスーパーアリーナ)

 女子ショートプログラム(SP)が行われ、今季の国際大会6戦全勝で、初出場の紀平梨花(16)=関大KFSC=は、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)がミスになり70・90点で7位発進した。首位に立った2018年平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワ(16)=ロシア=とは11・18点差。自身最大点差の逆転Vへ「やるしかない」と決意を込めた。女子フリーは22日に行われる。

 高く舞い上がった紀平のトリプルアクセルは不発だった。1回転半ジャンプになりSPの規定を満たせず、0点。その後、連続3回転ジャンプ、3回転ルッツは成功したが演技後、あまりの悔しさに表情をゆがめ、「もう、また…」とつぶやいた。「心が完璧でも自分の(ジャンプの)感覚が合ってないとダメ」。大一番でミスマッチが生じた。

 今季の国際大会6勝中、SP首位発進は2試合のみ。そのうちトリプルアクセルを決めたのは1試合と鬼門になっていた。18日に公式練習が始まってからこの日まで、集中的にSPのジャンプを確認。ジャンプの成否を左右するスケート靴のエッジ(刃)も、自分で電動ドリルを使って調整し続けた。直前の6分間練習までは好調だったが、初の世界選手権、初の会場と初めて尽くしも影響。「何も考えないでも跳ぶという感覚までもっていけなかった。(このリンクの感覚と)違うイメージが理想のジャンプになっていた」と悔いた。

 2月下旬から10日間、標高約1800メートルの米コロラドで追い込み合宿を敢行。ある日は午前9時から午後9時過ぎまでリンクで練習。体が浮きやすい高地でトリプルアクセルはSP1本、フリー2本の計3本入れる構成を滑り込んだ。ダンスやバレエのレッスンも行い、表現力もアップ。午後10時以降は筋力トレーニングに費やし、6キロのボールを持って速く体をひねったり、ゴムチューブを使ったり、体にキレを出すため、集中的に体幹を鍛えてきた。

 シニア1年目で日本勢初のGPデビュー戦Vなど、数々の記録を打ち立ててきた16歳。「一番重要」と位置づけた今大会で、首位と自身最大の11・18点差がついた。ザギトワは今季フリーの得点も紀平のベストを3・78点も上回る厳しい状況。浅田真央の17歳を上回る日本女子最年少Vを達成するためには、フリーでトリプルアクセル2本の成功を含め、ノーミスが絶対条件。今季の紀平は追い込まれてからが強い。国際大会6連勝中で4度の逆転Vを自信に「やるしかない。修正点を全部克服すれば(完璧な演技が)できる」。勝負のフリーへ覚悟は決まった。(小林 玲花)

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