韓国の高校生が“がんばれニッポン” 日本代表を応援する平昌高校

スポーツ報知
日本代表を応援する平昌高校の教職員と生徒

 平昌五輪で「がんばれ日本!」と声を上げて日本代表を応援する地元の高校がある。開催地となった自治体の江原道では、小中高生(40校・約800人)が学校ごとに選んだ国の文化を学び、応援する「一校一国運動」を実施して大会を盛り上げようとしている。平昌高校(生徒数325人)では、羽生結弦(23)をはじめとする日本代表選手たちを応援。韓国で組織的に日本人アスリートに声援を送るというのは新たな動きだ。学校を訪問してみた。

 五輪の平昌会場から南西へ約15キロ。マス釣り場を過ぎると、平昌高校が見えてきた。韓国では15日から旧正月。学校はすでに休み中だが、応援メンバー15人のうち2年生3人が、自習室で勉強中だった。皆、“韓国の東大”ソウル大を目指して猛勉強している。

 「勉強も大事ですが、国際交流の素晴らしい機会。皆で日本代表を応援したい」と話すのは咸春弘(ハム・チュンホン)校長(57)。「一校一国運動」は長野五輪が発祥。今回は五輪開催地の江原道の小中高校が取り組んでいる。平昌高では日本語授業が必修で、日本への関心は必然的に高い。「一校一国運動」では各校が応援したい国や地域を希望できるが、平昌高校が日本を希望するのは自然な流れだった。

 金栄兒(キム・ヨンア)さん(17)は、嵐の二宮和也ファンの女子。はまっているアニメは「進撃の巨人」。大学では天文学の専攻を検討しているロマンチストだ。「スポーツを通じて日本との関係はもっと改善できると思います」

 金泰謙(キム・テギョン)さん(17)は教員志望。好きな日本のスポーツ選手を「メジャーに行った大谷翔平選手!」と即答した。厳熈準(オム・ヒジュン)さん(17)はエンジニア志望。「実際に日本の選手を応援に行くのが楽しみです」

 メンバーは14日夜、バイアスロンの女子15キロに出場する日本代表の応援に行く。比較的観客が少ない競技を盛り上げようという趣旨だが、これを機にメンバーたちはバイアスロンに興味を持った。厳さんは「古屋沙理選手のファンになりました。射撃する姿がかっこいい」と話す。

 手製の応援プレートには「SARI FURUYA ファイト」「がんばれ」「いつも応援してます」と書かれている。アニメ映画「君の名は。」のイラストや、なぜか女優の石原さとみの写真が貼られていたりしてほほ笑ましい。

 16年前にサッカーの日韓W杯を韓国で取材した者としては感慨深い。4強まで勝ち進んだ韓国代表を応援に訪韓した日本人は結構いた。だが、日本代表の応援のために日本へ行ったという韓国人を私の周りでは聞いたことがない。韓国国内で日本戦をパブリックビューイングで見ていても、足を止めて見ている韓国人は少なかった。

 14日夜のバイアスロン競技会場は氷点下10度は確実に下回ると予想される。草の根ではあるが、極寒の中で「がんばれ日本!」と応援してくれる韓国の若者たちに拍手を送りたい。

 ◆一校一国運動 1998年長野五輪で、長野市内の小中学校が学校ごとに担当する国・地域を決め、その言葉や文化を学び、選手たちと交流した活動。子供たちの国際交流が進んだことが国際オリンピック委員会(IOC)で高く評価され、五輪では2000年シドニー、02年ソルトレークシティー、06年トリノ、08年北京などに受け継がれた。新体操、卓球などの世界選手権でも実施。今回は出場92か国・地域のうち対象は三十数か国。2020年の東京五輪パラリンピックでも実施予定。

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