松本死刑囚、刑執行 オウム元幹部6人も 上川法相「慎重に」理由は明かさず

スポーツ報知

 松本、地下鉄両サリン事件などオウム真理教による一連の犯行を首謀したとして殺人や殺人未遂などの罪に問われ、死刑が確定していた松本智津夫死刑囚(63)=教祖名・麻原彰晃=の刑が6日午前、東京拘置所で執行された。ほか幹部6死刑囚の刑も執行された。一連のオウム事件で認定された死者は計27人(起訴後の犠牲者は29人)。6500人以上の被害者を出した大事件の首謀者は最期まで真相を語ることはなかった。

 逮捕から23年。犯罪史上類を見ないテロ事件を首謀したオウム真理教の教祖は、真相を一切語らないまま、死刑執行となった。

 一連の事件で、死刑が確定した元教団幹部ら13人の中で初の執行。松本死刑囚のほかに執行されたのは井上嘉浩(48)、新実智光(54)=ともに大阪拘置所=、中川智正(55)=広島拘置所=、早川紀代秀(68)=福岡拘置所=、土谷正実(53)、遠藤誠一(58)=ともに東京拘置所=の6死刑囚。

 一日7人行われるのは異例。98年11月に法務省が死刑執行の事実と人数の公表を始めて以降、最多の同日執行となった。今後、残る6人の執行が焦点となる。

 上川陽子法相(65)は臨時記者会見で7人を選んだ理由や6日に執行した理由は明らかにしなかった。死刑執行命令について「鏡を磨いて、磨いて、磨ききって、慎重にも慎重を重ねた」と強調した。

 一連のオウム裁判が終結した1月以降、法務省は執行に向けた準備を本格化。一斉執行を視野に死刑囚を全国各地の拘置施設に移送して分散させ、後継団体による報復に備えた警備態勢を整えていった。「平成に起きた象徴的な事件の犯人の執行は平成のうちに」。省内でこんな言葉もささやかれるようになった。

相次ぐ皇室行事来年では難しい 同省では、東京五輪・パラリンピック開催の2020年と、陛下の退位と新天皇の即位に伴う皇室行事が相次ぐ19年は困難と判断。「18年中しかない」との意見が大勢を占めた。さらに、今年8月には高円宮家三女の絢子さまの結納に当たる「納采(のうさい)の儀」があり、その後も婚約関連行事が続くことが決定。7月中以外の選択肢が事実上なくなった。

 執行対象を巡っても首謀者である松本死刑囚1人だけを先に執行する案も持ち上がったが、関わった事件の数や果たした役割、教団内での地位を考慮。分散していても東京拘置所のように6人が収容されている場合、全員を一日で執行するのは事実上不可能なため、7人を選んだとみられる。

 確定判決によると、松本死刑囚はほかの教団幹部らと共謀し、95年3月の地下鉄サリン事件など13事件に関与。判決で認定された死者は計27人。起訴後の死亡者などを含めた犠牲者は29人に上り、国は6500人以上の被害者を確認している。東京地裁は2004年の判決で、全事件での指示と共謀を認定。求刑どおり死刑を言い渡した。06年9月、最高裁が特別抗告を棄却し、死刑が確定した。

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