都心部に新設される五輪競技会場、着々建設中!ほとんどが19年中にも建設終了

スポーツ報知
有明アリーナ(東京都提供)

 東京五輪開幕まで、24日でちょうど2年。22日は五輪・パラリンピックのマスコットの名前が発表され、五輪は「ミライトワ」、パラは「ソメイティ」に決定した。一方、都内中心部に新設される競技会場は、新国立競技場に注目が集まりがちだが、ほとんどが来年中に建設を終える予定。前回リオ五輪のような「間際になっても完成するか分からない状態」は避けられそうだ。

 各地で建設中の20年五輪・パラリンピックの競技会場。東京都オリンピック・パラリンピック準備局の担当者は「大会開催に向け順調に進んでいる」と胸を張る。

 東京湾に面する「海の森水上競技場」は予定通り来年5月に完成予定。気になったのは「工事の進み方」より「強風」。マスコミ向け施設見学が実施された17日は、風速8メートルほどの海風が吹いていた。職員は「毎日吹くというわけじゃないですし、風対策も万全を期している」。コース南側に防風林を植える予定で、風問題を杞憂(きゆう)に終わらせるべく奮闘中だ。

 五輪水泳センターは、昨年に基準値を超える水銀、鉛が敷地内の土壌から出たことによって2か月延び、20年2月に完成予定。現在は建設した屋根を棟上げし、プール部分を汚染除去しながら掘削する作業が進行中だ。江戸川区のカヌー・スラローム会場は、すでに白いコンクリートによる水路の輪郭ができあがっており、進捗(しんちょく)率は38%。来年5月に完成する。

 同局の担当者は「今後皆さんに大会を身近に感じてもらえるよう努力したい」。ほとんどの施設が来年中には竣工(しゅんこう)する。

 【注】〈1〉開催競技〈2〉観客席数(選手村はベッド数)〈3〉整備費〈4〉最寄り駅、バス停〈5〉完成予定時期〈6〉解説

 ◆有明アリーナ
 〈1〉バレーボール
 〈2〉1万5000席
 〈3〉357億円
 〈4〉ゆりかもめ・有明テニスの森、新豊洲駅
 〈5〉19年12月
 〈6〉小池百合子知事は既存の横浜アリーナを使用する案を出すも、最終的に新設が決定。大会後は東京の新たなスポーツ・文化発信拠点として年間140万人の来場者を目指す。また、大会後は25年間の運営権を民間企業に委ねる「コンセッション方式」を都で初めて採用。男子プロバスケットボール・Bリーグが積極協力する考えを示している。

 ◆有明体操競技場
 〈1〉体操
 〈2〉1万2000席
 〈3〉253億円
 〈4〉ゆりかもめ・有明テニスの森駅
 〈5〉19年10月
 〈6〉仮設会場として整備。大会終了後は観客席などを撤去し、 新たに会議室や駐車場等を設置する改修工事を行い、10年程度、都が都内中小企業の振興に資する展示場として活用する。

 ◆大井ホッケー競技場
 〈1〉ホッケー
 〈2〉1万席
 〈3〉48億円
 〈4〉東京モノレール・大井競馬場前駅
 〈5〉19年6月
 〈6〉大井ふ頭中央海浜公園内に整備。大会後には国際基準を満たす数少ないホッケー競技場として主要大会の会場としてホッケー振興の拠点とするほか、ラクロスなど、さまざまなスポーツでの利用が可能な多目的人工芝競技場とする。

 ◆海の森水上競技場
 〈1〉カヌー(スプリント)、ボート
 〈2〉2万4000席(立ち見含む)
 〈3〉308億円
 〈4〉都バス・環境局中防合同庁舎前
 〈5〉19年5月
 〈6〉招致時には整備費を69億円と試算していたが、13年の再試算で1038億円にまで膨張し、問題となった。大会後はアジアの水上競技の中心となる国際水準の競技場とする予定。住所が決まっておらず、江東区と大田区がそれぞれ帰属を主張して争っている。

 ◆カヌー・スラローム会場
 〈1〉カヌー(スラローム)
 〈2〉1万5000席(立ち見含む)
 〈3〉73億円
 〈4〉JR京葉線・葛西臨海公園駅
 〈5〉19年5月
 〈6〉水路に人工的に流れを作り出し、競技を実施することのできる国内初の施設。大会後は客席は全て撤去し、安定した競技環境のもとでアスリートの強化・育成に使用するほか、ラフティングなど水上レジャーの機会を都民に提供。また、水難救助訓練などに活用する。

 ◆五輪水泳センター
 〈1〉水泳(競泳、飛び込み、アーティスティック)
 〈2〉1万5000席
 〈3〉567億円
 〈4〉東京メトロ有楽町線・辰巳駅
 〈5〉20年2月
 〈6〉水球の会場となる辰巳国際水泳場の使用も検討されたが、仮設の観客席を運河の上に設置するのが困難であることなどを理由に新設が決定。観客席数は当初の2万席から減席された。大会後は年間100大会の開催を目標とするほか、周辺の「辰巳の森海浜公園」と一体化し、都民の憩いの場とする。

 ◆選手村
 〈1〉―
 〈2〉1万8000ベッド
 〈3〉540億円
 〈4〉都営大江戸線・勝どき駅
 〈5〉19年12月
 〈6〉都が施行する市街地再開発事業において、民間事業者が整備する住宅棟に組織委員会が大会用の内装を付加して大会期間中に一時使用する計画。食堂や各種店舗は仮設施設として整備する。大会後、住宅棟は改修し、新たに建築する高層棟2棟とともに分譲・賃貸住宅とする予定。

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