東京五輪マラソン、選手と観客どちらが先に倒れる…谷口浩美さん「走るにはミスト無駄」いつでもかぶり水提案

スポーツ報知
谷口浩美さん

 気温は東京都でもぐんぐん上がった。青梅市では午後1時29分に40・8度を観測。都内で40度以上になるのは観測史上初だ。都心でも39・0度を観測した。2020年東京五輪の開幕まで、24日であと2年となった。この暑さ、本当に大丈夫なのだろうか。

 炎天下の東京都内を走るであろう東京五輪マラソン競技では、どのような暑さ対策が必要になるのだろうか。1992年バルセロナ、96年アトランタ五輪男子マラソン代表の谷口浩美さん(58)=宮崎大特別教授=に対処法を聞いた。

 私が東京で開催された世界陸上(日本人初の金メダル)を走った1991年当時は、暑さでこんなにたくさんの方が亡くなるなんてことはありませんでした。このままだと2020年には選手と観客のどちらが先に倒れるか、なんてことになってしまいかねません。

 気温は自分ではコントロールできない部分です。単純に暑くなったら冷やすしかない。それがうまくできるかがキーポイントになると思います。よくミストが設置されたりしていますが、あれは走るほうにとっては無駄なんです。かぶり水をレース中にいつでも自由に取れるぐらいの状態にするのが理想でしょうね。ボクシングの1ラウンド(3分)ごとの間隔ぐらいでもいいと思います。そのぶんロスは増えますが。

 選手はレースと同じ時間帯にコースへ行って暑さを実体験しておいた方がいいでしょう。実際の暑さが分かっていれば倒れることはないと思います。

 選手だけでなく観客の方々にも言えることなんですが、いくら水分補給をしても腸内の状態が悪いと体に吸収されません。マラソンの日には走る人も、観戦する人も、胃腸を壊さぬよう気をつけるべきでしょう。

 ◆マラソンと水分補給 約5キロ間隔で給水所を設置することが規則で定められている。ペットボトルなどの容器に入った水を口に含むだけでなく、かぶり水として頭、首、腕などに浴びせた後で容器を捨てる。夏の市民マラソンなどでは給水所に大型のバケツが用意されていて、ひしゃくで水をかぶれるようにしてある場合が多い。

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