酷暑!東京五輪にNO! 海外メディアが不安・懸念を報じる 開催時期再検討の提案も

スポーツ報知

 日本全国が連日猛暑に見舞われる中、海外の主要メディアが開催まで2年を切った2020年の東京五輪・パラリンピックの時期に関して不安や懸念を次々と報じている。英紙ガーディアン(電子版)は「強烈な熱波は、選手や観客が危険な状態に直面するかもしれない」と警鐘を鳴らしたほか、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは暑さを理由にサッカーの22年カタールW杯が11~12月開催になった例を挙げ、開催時期の再検討を提案した。

 東京はこの日、最高気温が35度を超える酷暑日が3日連続でストップしたものの、五輪のメイン会場となる新国立競技場に最も近い観測点である東京・千代田区の25日の最高気温は32・2度。真夏日(最高気温30度以上)は18日連続となったが、海外からは五輪を本気で心配する声が後を絶たない。

 ガーディアンは、23日に埼玉県熊谷市で観測史上最高の41・1度を記録したのを受けて「日本で熱波 2020年の五輪に懸念の記録更新」との見出しで記事を掲載。「選手や観客には熱中症の危険があり、危険な状態に直面する可能性がある」としている。また、晴天の場合はマラソンコースがランナーにとって「極めて危険」になり得るという大学教授らの研究結果を紹介。東大の横張真教授の「真夏に開催する以上、どんな安全対策も万全とはいえない」との言葉を載せた。

 一方、ウォール・ストリート・ジャーナルは高温による死者の例を挙げながら危険を呼び掛けた。前回の東京五輪は10月に開催されていること、当時と比較して現在の東京の平均気温が数度上昇していることなどを挙げ「1週間以上続いている極端な猛暑は、五輪の開催時期に関する議論を再燃させるだろう」と真夏の開催を考え直すべきとの論調で報じた。

 国際大会では、カタールが冷房技術を売りにW杯の招致レースを制したものの、夏季の最高気温が45度に達することが問題視され、初めて11~12月の開催が決定した例もある。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長も、先週のIOC理事会後に記者団に対し「我々はいつも柔軟に対応しようと考えている」と話し、時期の再考について完全に否定しなかった。

 ただ、開催時期にはさまざまな思惑がからむ。IOCは米テレビ局NBCから多額の放映権料を得ており、同局の意向が強く働くとされる。また、各競技とも五輪以外の世界大会は日程が決まっているものが多く、バッハ会長も「(再考には)国際競技連盟(IF)の協力が不可欠」と明言。単純に「暑いから」だけで動かせない事情もある。

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 海外メディアから暑さについての懸念が広がる中、東京都オリンピック・パラリンピック準備局は25日、スポーツ報知の取材に「組織委、国、自治体と連携して暑さ対策の話し合いは常にしている」と強調し「今回のような気温になる可能性も見据えていろいろ手を打っていければ」と万全ぶりをアピールした。

 すでに都は対策実験も実施している。メディアセンターとなる東京ビッグサイトと「カヌー・スラローム会場」最寄りの東京メトロ・西葛西駅前の都バス停留所にミストを噴射する装置を試験的に設置。来月28日まで実験を行う予定で、利用者へのアンケートなどを経て、どれほど効果があるのかを確かめる。このほか、マラソンコースや主要な競技会場までのルートの街路樹の葉や枝の部分をこれまでよりも大きく育てて日差しを遮る木陰をつくる対策や、熱くならない路面舗装を設置していくことにも力を入れているという。

 同局では「この暑さでまた新しい課題が出れば、その都度検討していきたい」と意欲的。一方で、五輪開催時期の変更については「私個人でハッキリ言うことはできませんが、ここまで準備してきたら、大きく変わることはないかと…」とのことだった。

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