オウム死刑囚、全13人執行「3つの謎」未解明のまま残り6人も

スポーツ報知

 地下鉄、松本両サリン事件などオウム真理教による事件に関わったとして、殺人などの罪に問われ、死刑が確定した教団元幹部ら6人の刑が26日、執行された。教祖である麻原彰晃(本名・松本智津夫)元死刑囚ら7人が6日に執行されてから20日。一連の事件で死刑が確定した13人全員の執行が終わり、平成の時代を代表する未曽有の事件は大きな節目を迎えた。

 執行された6人は、林(現姓・小池)泰男(60)、豊田亨(50)、広瀬健一(54)、端本悟(51)、岡崎(現姓・宮前)一明(57)、横山真人(54)の各死刑囚。6人は、麻原彰晃元死刑囚(執行時63)ら6日執行の7人より教団内の地位は低く、法務省はこうした事情を考慮して執行順を決めたようだ。

 確定判決によると、林、端本両死刑囚は94年6月に松本サリン事件を、端本、岡崎両死刑囚は89年11月に坂本堤弁護士(当時33)一家3人殺害事件をそれぞれ起こすなどした。林、豊田、広瀬、横山の各死刑囚は95年3月に地下鉄サリン事件の散布役を担当。5人いた散布役のうち、無期懲役となった林郁夫受刑者(71)以外の4人が同じ日に死刑執行されたことになる。

 オウム真理教の死刑囚13人全員の刑が執行されたことで、一連の事件は事実上、刑事手続きが終わった。ただ教団による数々の凶行の背景は、裁判で完全に明らかにされたわけではない。幹部たちが真相を語る機会は永久に失われ、未解明の謎も多く残された。

 「謎」の1つ目は、95年4月に教団NO2だった村井秀夫幹部(死亡時36)が都内で暴力団関係者の男に刺殺された事件。現行犯逮捕された男は「暴力団幹部に指示された」と供述した。男は殺人罪で懲役12年の判決を受けて服役。一方で幹部については「男の供述には重大な疑問点がある」として無罪確定、背後関係は解明されなかった。

 2つ目は95年3月30日の国松孝次警察庁長官(当時)狙撃事件。教団の関与が取りざたされたが教団側は否定、10年3月に公訴時効が成立した。警察庁は教団による犯行とする捜査結果を発表。教団の後継団体アレフは名誉を傷つけられたとして訴訟を起こして勝訴した。

 3つ目は海外拠点。教団はロシアでソ連崩壊の混乱に乗じて勢力を拡大したが、どうやって拠点化できたのかは分かってない。ロシア当局は地下鉄サリン事件後に教団活動を禁止し、16年にテロ組織に認定。今年5月には信者を勧誘したとしてロシア人幹部の男を逮捕した。

 日本国内には、後継団体の主流派「アレフ」と、元幹部・上祐史浩氏(55)が設立した「ひかりの輪」、アレフから分派した団体の3つに計約1650人の信者がいる。警察や公安調査庁は、今後混乱が生じる可能性があるとみて活動を注視していく。

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