西向きの“逆走台風”はなぜ生まれた?気象予報会社が解説 2つの特別な気象条件

スポーツ報知
台風12号の影響で中止・順延になった主なイベント

 日本の南の海上を北上中の強い台風12号は、28日午後に伊豆諸島に近付いた後、夜には強い勢力のまま東日本に上陸するおそれが高まった。気象庁はこの日、台風12号の異例ともいえる西日本への進行の可能性を示唆。西日本豪雨の復旧活動が進んでいる被災地では注意が必要だ。

 西向きの“逆走台風”となった12号について、気象予報会社「ウェザーニューズ」は、「偏西風の影響で台風は東へ向かうのが普通ですが、今回の進路は異例中の異例」と説明。西へ向かう理由として2つの特別な気象条件を挙げた。

 まず、進路近くの東海沖に「寒冷渦」が存在すること。台風も寒冷渦も反時計回りの渦を持っているので、相互作用で西へ進路を向けてしまうという。「寒冷渦」とは中心に寒気を持ち、上空の高いところにある低気圧。地上では低気圧として解析されないので通常の天気図では登場しないが、夏でも所々で発生している。

 もう一つは、朝鮮半島から北日本方面を覆っている夏の高気圧が強い勢力を維持し続けていること。同社は「この高気圧は猛暑の原因となっているのですが、ここまで南へ張り出していることは珍しい」。台風は高気圧の方向へは進まないので、西へ進路を変えた12号がさらに真西へ向かうことになるという。

 同様の進路を取るのは「16年の台風10号以来」。当時の台風は一端日本を離れるように南へ向かいながらUターンして東北地方に上陸し、進路を西へ変えたという。寿命は北緯30度以北に発生した台風としては最長記録となる11日と3時間だった。

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