LGBT「生産性がない」発言の杉田議員に自民が指導、早期離党求める声も

スポーツ報知
国会議事堂

 性的少数者(LGBT)は「生産性がない」として、行政支援に疑問があると寄稿した自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(51、比例中国)に対し、同党は「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」と指導したことが2日、分かった。1日付の党ホームページ(HP)に掲載した。同党が議員の問題発言などを巡って見解を表明するのは異例。9月の総裁選へ影響する可能性もあり、党内では、早期離党は不可避との声も上がっている。

 同党はHPのトップページに「LGBTに関するわが党の政策について」との見解を掲載。差別解消策を党の特命委員会で検討し、議員立法提出を目指していると活動を紹介した。杉田氏の寄稿に対しては「個人的な見解」としつつ、「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現がある」と指摘。「今後、十分に注意するよう指導したところです」とし、静観してきたこれまでの姿勢を転換し、火消しに懸命となった。党関係者は「スキャンダルと違い、差別的な発言は人権問題に対する党の姿勢が問われる。対応が遅れた」と後手に回ったことを認めた。

 また安倍晋三首相は視察先の宮城県東松島市で記者団の質問に答え、「人権が尊重され、多様性が尊重される社会を目指すのは当然だ」と述べ、党の立場と相入れないとの認識を強調した。杉田氏は党から指導を受けたとした上で「真摯(しんし)に受け止め、研さんに努めていく」とのコメントを事務所を通じて発表したが、謝罪はしなかった。

 杉田氏は月刊誌「新潮45」8月号に、「LGBTのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり生産性がないのです」などと持論を展開。発売直後より、有識者や海外メディアから批判を浴び、党本部などにも抗議電話が殺到した。その後、杉田氏は「党議員から『間違ったことは言っていない』と擁護された」などとツイッターでつづり、さらに炎上。投稿を削除した。

 二階俊博幹事長は24日の記者会見で「人、それぞれ政治的立場、いろんな人生観もある」と静観する構えだったが、SNSを中心に批判が拡大。27日には党本部前で、LGBT支援団体などが大規模な抗議活動を行った。石破茂元幹事長、小泉進次郎筆頭副幹事長、安倍首相と近い稲田朋美元防衛相らが杉田氏の言動を批判。来年の統一地方選や参院選への影響を心配する声が出始めるなど、党内にも波紋が広がっていた。

 杉田氏は党内最大派閥の細田派。9月の総裁選では安倍首相支持を打ち出しているが、ある幹部は早期離党は不可避とし、議員辞職も視野に入るとしている。また、ある中堅議員は「即刻離党が必要だ。早く辞めてもらなわないと、手遅れになる。同じ党であることが恥ずかしい」と厳しく批判。別の幹部も「多様性を一切認めない偏った考えの持ち主。このような候補を公認した党の責任もある」と指摘した。

 ◆杉田 水脈(すぎた・みお)1967年4月22日、神戸市生まれ。51歳。90年、鳥取大農学部を卒業後、住宅メーカーを経て92年から西宮市役所に勤務。2010年に退職し、12年の衆院選に兵庫6区で日本維新の会から出馬。選挙区で敗れるも比例近畿で復活し、初当選。14年は次世代の党から同区で出馬し落選。17年、自民党の比例中国単独候補となり当選し、現在2期目。趣味は読書、旅行、カラオケ。家族は夫と一女。

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