金足農に優勝祈願の通行手形…白河関跡にある白河神社

スポーツ報知
東北勢初となる甲子園制覇を祈願する白河神社の西田重和宮司

 夏の甲子園で金足農(秋田)が秋田県勢として103年ぶりに決勝に進み、春夏を通じて東北勢の初優勝に王手をかけた。白河関跡に建てられた白河神社は2009年から毎年、春夏の東北勢甲子園出場校に優勝を祈願し、通行手形とお札を送り続けている。悲願の“白河越え”へ、西田重和宮司(70)が金足農にエールを送った。

 かつて東北地方を訪れる人々が必ず通った場所にある神社が、優勝旗が東北の地に届くことを強く願っている。鼠ケ関(ねずがせき)、勿来(なこそ)の関と合わせて奥州三関と呼ばれ、東北地方の玄関口として関門のあった白河の関跡にある白河神社。東北勢は過去、春3度、夏8度決勝に進んでいるが全敗。優勝旗を東北に持ち帰る“白河越え”の由来はここ、白河の関から生まれた。現在は空堀や土塁だけが残り、「名前は有名だから、訪れた人は『どこにあるの?』と思うでしょうね」と笑うのは、白河神社の西田宮司だ。

 毎年、東北勢で春夏の甲子園に出場する高校に、通行手形とお札を送っている白河神社。東北勢が躍進するたびに使われる“白河越え”という言葉に反応し、地区の神社をまとめる敬神会会長で、西田宮司と同級生の三森繁さん(70)が発案したのがきっかけだ。2009年から始めて今年で10年目。今年も東北6県の代表校がそろった7月下旬、学校宛てに送った。

 「校長先生や、(福島・聖光学院の)斎藤監督からはお電話をいただきます。(大会後には)結果報告の連絡もあります」と西田宮司。今年は第100回の記念大会ということもあり、初めて社務所脇に応援看板を立てた。金足農とは縁もゆかりもないが、東北6県の高校球児の悲願を応援する気持ちに変わりはない。

 金足農が決勝で対戦するのは史上初の2度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭。前回連覇した2012年は、春夏とも決勝の相手は青森の光星学院(現・八戸学院光星)だった。

 今大会もできるだけテレビ観戦しているという西田宮司は、「準決勝はテレビでみてました。投手の子、1人で投げてるんでしょう? すごい男だね」と吉田輝星(こうせい)投手(3年)の頑張りに驚きの表情。21日の決勝は、近所の方々らとテレビ観戦し声援を送る予定だ。「節目の100回(大会)ですから、ぜひ越えてほしいですね」と、激励の言葉をかけた西田宮司。“白河越え”がかなう瞬間を心待ちにしている。

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