逃走犯似のバイク、パトカーに追跡され事故死 17歳高校生だった

スポーツ報知
パトカーに追跡された男子高校生が追突したバス停の支柱

 先月30日午後9時25分ごろ、大阪市西区の路上で大阪府警港署のパトカーに追跡されていたバイクがバス停の支柱に衝突し、運転していた大阪府内の男子高校生(17)が頭などを強く打って死亡した。事故の約1時間前に、外見や乗っていたバイクが富田林署から先月12日に逃走した無職・樋田淳也容疑者(30)=写真、大阪府警提供=と似ていたとの通報があり、追跡を行っていた。高校生はパトカーを見て突如、急転回をするなどの行動を取っていたことなどから、同署は追跡について問題がなかったとしている。

 港署によると、「樋田容疑者に目鼻立ちが似た男が黒っぽいバイクに乗っているのを見た」との通報が通行人の男性からあったのは30日の午後8時25分ごろ。黒い長袖に黒いズボンを着用し、黒色にシルバーのラインが入ったキャップ型のヘルメットをかぶっていたという。

 同署員がパトロールをしていたところ、午後9時22分に通報内容と似た色のバイクを発見。停止を求めると急転回して逃走したため、署員は「樋田容疑者ではないか」と思い追跡を開始したが、バイクが一方通行を逆走したところで、一時は見失ったという。その2分後に数百メートル離れた場所でバイクを再発見。追跡を始めると、バイクは信号無視をして再び逃走を始めた。

 バイクは追跡を開始した場所から東に向かってスピードを上げて逃げていたが、緩い右カーブを曲がりきれずにバス停でバスを待つ客用に設けられた屋根の支柱の1本に衝突。転倒した。事故後、バイクを運転していたのは男子高校生と判明した。高校生は無免許で、バイクは盗難車だった。逃走や事故に巻き込まれた人はいなかった。

 港署の新谷欣尚副署長は「追跡は適正だった。(高校生が)亡くなったことは残念」とコメント。高校生はパトカーを目にして交通法規を無視し逃走したことなどから、問題はなかったとしている。

 バス停付近に住む60代の男性は「事故の時はガシャーンというものすごい音がした」。事故が起きる前からパトカーのサイレン音が聞こえていたそうで「ものすごいスピードで走っていたんだと思う。横たわっている男の子の周りには1メートルくらいの血だまりができていて、乗っていたバイクは40メートルくらい前方まで飛んでいた」と激しい衝突の様子を説明した。

 ◆「黒いバイクの男」 8月12日の午後8時ごろに富田林署の接見室の隔離用アクリル板を蹴破って逃走したとみられる樋田容疑者の実家がある大阪府松原市で、13日午前0時ごろまでに黒いミニバイクが盗まれる被害が発生。大阪市内や羽曳野市で、黒いミニバイクによるひったくり事件が相次いでいた。14日には兵庫県尼崎市のJR立花駅付近でも黒っぽい服装で黒いバイクに乗った男が防犯カメラで確認されている。

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