将棋・本田奎新四段誕生 弟弟子・斎藤明日斗四段に先を越され「練習将棋で王将が玉将に変わって悔しかった」

スポーツ報知
昇段を果たした本田奎新四段(左)と山本博志新四段

 将棋の棋士養成機関「奨励会」三段リーグ最終節の対局が2日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、本田奎(けい)三段(21)が通算15勝3敗で四段(棋士)昇段を果たした(正式昇段日は10月1日付)。同時昇段は同13勝5敗の山本博志三段(22)。

 前節で、勝てば昇段が決まっていた1局を落としていた本田新四段だが、2局指して1勝という条件で2連勝を飾った。「前回負けてからの2週間はつらかったので、勝てて良かったです。1局目で決めたかった」。穏やかな口調で喜びをかみ締めた。

 三段リーグ在籍7期。3年半の月日を「長かったです。同じ階級に3年もいたことはないので。弟弟子や、後からの昇段した会員にも抜かれたので長かったです」と振り返った。

 「弟弟子」とは、ちょうど1年前に昇段した同門の斎藤明日斗四段(20)。幼い頃から研鑽を積み、現在も練習将棋を指す間柄だ。「1度も抜かれたことはなかったので、さすがに悔しかった。練習将棋で王将が玉将に変わったのも悔しかったです(将棋では、上位者が王将を、下位者が玉将を使う)」。前日に「いつも通りに」とエールを送ってくれた師匠の宮田八段に昇段報告の電話を掛けると「おめでとう。よかったなあ。でも、弟弟子も上がっているんだからボヤボヤしてるんじゃないぞ」という祝福と激励の言葉を掛けられた。

 2016年の三段リーグでは、後にわずか在籍1期で鬼門を突破することになる藤井聡太現七段(16)から勝利を収めている。「あまり覚えていないんですけど、あの時は私も上位にいて、藤井さんに勝った、というよりもただ1勝したという感じでしたけど、今にして思えばよくやったのかもしれないです。でも、あの時は同じ三段だったのに、今はこれだけ差が出来てしまった。自分も四段になれたので活躍したいですし、教わりたい(対戦したい)ですね」。プロの舞台での再戦を熱望した。

 目標とするのは、今年初タイトルを獲得した豊島将之棋聖(28)。「序盤研究がすごいので同じような将棋を指せたらと思います。自分も序盤の研究から中盤でリードする将棋と思っていますし、研究負けすることはないと思っています。自分もタイトルを取りたいです」。力強く宣言した。

 両親に電話をすると、師匠と同じように「よかったな」という言葉が返ってきた。「心配させていたので…安心させられて良かったです」。夢を叶えた現場には、居ても立ってもいられなかったのか、斎藤四段も駆け付けていた。兄弟弟子の切磋琢磨は続いていく。

 ◇本田 奎(ほんだ・けい)1997年7月5日、神奈川県川崎市生まれ。21歳。宮田利男八段門下。小学校入学前に父親に教わり、将棋を始める。2009年、奨励会入会。15年、三段リーグ参加。得意とする戦型は相掛かり。趣味はカラオケで十八番はコブクロ。

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