カメラマンが「撮った」北海道地震、傾いた家に「平衡感覚が分からなくなる」
スポーツ報知

6日未明に発生した大地震「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」では道内全域が停電し、一部では断水被害も発生した。札幌市で特に被害が大きかった清田区里塚では、道路が陥没、液状化現象で複数の家屋が傾いていた。
普段と同じはずの光景が、明らかに違った。街のシンボル・札幌テレビ塔の時刻表示も消え、真っ暗なコンビニには長蛇の列。札幌駅構内は、地べたに座り込む人であふれた。液状化の影響で、泥に埋まる乗用車。現実かどうかも分からない。そんな世界が広がっていた。
特に被害が大きかった清田区。カメラを手に住宅街に足を踏み入れると、言葉を失った。道路は地割れで分断され、一部は陥没しマンホールが2メートルほど突き出ている。今にも倒れそうに傾いた家屋を見ていると、平衡感覚が分からなくなる、今までに経験したことのない錯覚を覚えた。
現場に立ちつくしていた学生が取材に応じてくれた。「(近くに)川がないのに、濁流の音が聞こえた。膝のガクガクが止まらず、立っていられなかった。ケガ人がいなかったのが不幸中の幸い」。玄関の扉は開かないようで、ベランダの窓から室内へ戻っていった。
これまでは東日本大震災や熊本地震を、何となく見聞きしていた。今回も現場で「まさか自分が」という声を耳にした。いつ誰に降りかかるか分からない天災。現場の生々しさを肌で感じ、自然の怖さを思い知った。(北海道支局・宮崎 亮太)