停電過半数が復旧で復興の光見えた…胆振東部地震から一夜、北海道支局・宮崎記者が見た

6日に最大震度7を観測した北海道胆振(いぶり)東部地震から一夜明けた7日、政府によると、死者は9人、心肺停止9人、安否不明者22人となった。道によるとけが人は約360人。不明者の捜索は夜を徹して行われた。道内全域に及んだ停電は過半数が復旧したものの、市民生活は混乱が続いている。スポーツ報知北海道支局の宮崎亮太記者(27)が札幌市内を取材した。
少しずつ、光を取り戻している。7日夜、札幌の歓楽街・ススキノには、一部のネオン看板がともり、灯火で手信号を送る警察官の姿はなかった。中心部の大動脈である市営地下鉄や、路面電車が帰宅者を送る、見慣れた光景が目に飛び込んだ。
午後6時。札幌駅で地下鉄南北線を待っていた会社員の男性は「今朝は1時間歩いて通勤した。地下鉄の復旧は大きいです」と、疲労感と安堵(あんど)感が入り交じる表情で話した。地震の影響で全道を襲った未曽有の大停電。6日夜は、札幌中心部ですら真っ暗で、怖さを感じた。それに比べると、電力供給が進んだこの日は、復興への道筋が見えた気がした。
不安要素は残る。多くのコンビニやスーパーは夕方以降に閉店。営業しているところでも、食料の品薄状態が目立った。大通の地下歩行空間には、外国人観光客を中心とした帰宅難民が約200人座り込む。観光で訪れたというイタリア人男性は「ホテルが取れなかった。でも公衆トイレがきれい」と苦笑い。4か国語で毛布などの無料貸し出しを案内するなど、国を超えた助け合いが見られた。
また道内の一部地域で電力供給が再開したことで、数軒の飲食店が営業を再開。中華チェーン「餃子の王将」すすきの店では、午後3時から「野菜煮込みラーメン」を700食分用意し、無料で提供した。店長の土屋崇徳さん(44)は「朝9時半くらいに話して決めた。いろんな店舗から材料を集めました」。店内は客であふれた。
信号が動作しない夜道では、乗用車が徐行し、歩行者や対向車に道を譲り合った。停電や断水が解消されない地域はあり、不便は多い。余震は100回を超え、多くの人たちが避難所での生活を強いられている。土砂崩れがあった厚真町では救出作業が続くなど、予断を許さない状況だ。先行きが見えない、誰もが不安を感じる日々―。それでも、一致団結して元の形を取り戻そうとする姿が、ここにはある。(宮崎 亮太)