豊洲市場ドタバタ船出 ターレから出火、周辺大渋滞で交通マヒ 

スポーツ報知

 築地市場(東京都中央区)から移転した豊洲市場(江東区)が11日午前0時に開場した。未明に運搬車「ターレ」から出火するぼや騒ぎに始まり、市場を歩いていた60代女性がターレと接触して負傷、約1キロにわたる大渋滞が発生するなどトラブル続きのスタートとなった。注目のマグロの初競りは、最高値が428万円にとどまった。

 豊洲新市場は“三重苦”とともにオープンした。午前3時、最初の異常事態が発生した。場内のスロープを走っていた「ターレ」から出火。もうもうと立ち込める煙に、場内は騒然となった。警視庁深川署などによると、現場は市場内で水産物の競りなどをする7街区で、ターレ1台が燃え、約30分後に消し止められた。けが人はいなかった。

 続いて同4時半ごろ、市場内を歩いていた60代の女性がターレと接触し、足にけがを負う事故が起きた。深川署によると、救急搬送されたが命に別条はなかった。不慣れな現場で起きたトラブルに、現場に緊張感が走った。

 さらにこの日は、豊洲市場周辺が大渋滞。青果物や水産物などの初競りが行われた午前4時前後、最寄りの高速道路出口の豊洲ICで30分たってもほとんど車が動かない状況が続いた。トラックを運転していた横浜市の卸売業者は「競りは間に合わない。翌日に出すしかない」と困惑。八王子市で、すし店を営む男性(40)は、仲卸業者に注文していた魚が予定通りに準備されず、「しばらくは仕方ないのかな」と疲れた表情を見せた。

 都は建設中の未開通区間の都道・環状2号線の一部を、この日から1か月限定で市場関係者だけに開放する渋滞対策をとったが、まだ十分とは言えないようだ。それでも「この手のトラブルは築地でもあった。初日で注目されているから目立つけど、まあ大丈夫でしょう」と前向きに話す業者もいた。

 マグロの初競りは同5時半ごろスタート。競りの最高額は214キロの青森県三厩(みんまや)産で、428万円(1キロ当たり2万円)だった。正月の最高値落札でおなじみのすし店「すしざんまい」を運営する喜代村も参加したが、今回の最高値は見送った。風物詩の正月とは“ノリ”が違うようで「無理はしなかった」(喜代村関係者)。市場関係者によると「普段よりは1キロ5000円ほど高い」というご祝儀価格だった。

 豊洲市場を巡っては、東京都の小池百合子知事(66)が16年8月に移転延期を表明し、2年延期されて開場した。知事はこの日、白い長靴を履き、各競りを視察。「築地で培った目利きの技を豊洲に移していただき、日本の中核的市場に育てたい」と述べた。

 まさかのトラブルが頻発した初日となったが、業者らは「いよいよだ」「待ってたよ」と声を掛け合い、新市場に威勢の良い掛け声が響いた。

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