青森が3年ぶりV奪還に燃える「県民手帳」激アツバトル

スポーツ報知
7色に種類を増やし、首位奪還を狙う青森県民手帳(下段右端が、こぎん刺し模様の限定版)

 今、県民手帳戦線が熱い。雑貨小売り大手のロフトでは、1日から渋谷、銀座、千葉の店舗で全国41県が独自に作成する「県民手帳」を今年も売り出した。売り上げランキングを集計し始めてから常に上位をキープしているのが青森県。2015年版、16年版では2連覇を勝ち取ったが、「くまモン」擁する熊本県や、首都圏の利を生かした千葉県に押され、ここ2年は1位から遠ざかっている。V奪還に燃える青森県が打ち出した作戦とは?(増田 寛)

 県民手帳とは、それぞれの自治体が作成している手帳。地元の情報が豊富で、価格が税込み500円程度とお手頃な物が多い。県のゆるキャラのイラスト入りなど、デザイン性もあり、県外でも人気が高まっている。

 中でもファンが多いのが青森県民手帳(税込み500円)。1ページ目から県内の観光名所図が広がる。めくっていけば、カレンダー部分に各月ごとの旬の食材、過去の気象状況―。手帳のどこを見渡しても青森の情報づくしだ。ロフトの営業企画部広報・渉外部の高橋祐衣さん(30)は「地元の親御さんにお土産で贈ったり、転勤先の情報を知るために買っている方が多いです」と話す。

 首都圏でも人気を集めてきた青森県民手帳だが、ここ2年は2位に甘んじてきた。「やっぱり意識しています」とV奪還に燃えるのは青森県統計協会事務局長・大山健さん(55)。これまでは中高年の男性がメインの購買層だったが、「女性にも使ってほしい」と18年版では5種類だった表紙の色にピンクも加えた。

 さらに、県内でブームになっている伝統織物・こぎん刺しをモチーフにした表紙の限定版も発売。通常の県民手帳と比べ700円と高いが、県内ではすでに売り切れた。ロフトでもネット販売1位と上々の滑り出し。友達にこの手帳を勧められたという首都圏出身の40代の女性会社員は「こぎん刺し模様の手帳を見に来ました。デザインが良かったので」と話した。大山さんの思惑通りだ。

 内容も充実させた。青森方言、りんごの品種、主な温泉の紹介ページを追加したほか、各月ごとに旬の「さかな」「やさい」「くだもの」を記載した。付録の別冊「ふるさと便利帳」には、県の主な行事、道の駅一覧、県の日本一集など、これでもかと情報を詰め込んだ。

 「ぜひとも1位を奪還したい。青森を1位にしたい」と意気込む大山さん。人事は尽くした。あとは天命を待つだけだ。

 ◆青森県の主な日本一

 ▼青函トンネル 長さ53.85キロで世界最長の海底トンネル

 ▼白神山地のブナ天然林 青森県側1万2627ヘクタールは世界一の広さ

 ▼弘前公園のソメイヨシノ 1882年に植培で日本最古

 ▼深浦町のイチョウの木 幹周22メートルで一番大きく、樹齢約1000年

 ▼五所川原市のたちねぷた 高さ23メートル、重さ19トンは山車で日本最大

 ▼東通村の尻屋埼灯台 高さ32.82メートル、レンガ造り灯台で日本一の高さ

 ▼収穫量 りんご(44万7800トン、2016年)、にんにく(1万4200トン、16年)、ごぼう(4万8700トン、16年)、ながいも(5万2900トン、16年)、クロスグリ(カシスなど、11トン、14年)、あんず(1266トン、14年)

 ▼1世帯あたりの購入数や購入金額 生鮮魚介、カップ麺、缶チューハイ・カクテル、コーヒー飲料

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