日航飲酒パイロット 英で禁錮10月

2018年12月1日6時13分  スポーツ報知
  • 英国の刑務所アラカルト

 旅客機への乗務前に呼気から基準値を大幅に超えるアルコールが検出されたなどとして、英国の運輸関係法令違反の罪に問われた日本航空の副操縦士・実川克敏被告(42)の裁判が29日(日本時間30日)にロンドン西部の刑事法院(マシューズ裁判官)で開かれ、禁錮10月の実刑判決が言い渡された。実川被告は日本での服役を希望している可能性があるという。日航は30日、実川被告の懲戒解雇と赤坂祐二社長ら経営陣を含む関係者の処分を発表した。

 多くの搭乗客の命を預かるにもかかわらず、“酒気帯び運転”をしようとした副操縦士に、実刑判決が下された。留置先からビデオリンク方式での中継で映し出された実川被告に対し、裁判官は禁錮10月を言い渡した。英国では12月より短い禁錮刑の場合、刑期が半分終われば仮釈放される。

 実川被告はカーキ色っぽい半袖のシャツとズボンを着用。上着のような衣類を手にしており、一礼した上で着席した。罪状認否では「罪を犯しました」と認め、約1時間の公判中は終始伏し目がち。禁錮刑が言い渡された際もほとんど表情や姿勢を変えず、書記官が刑の内容を確認すると「はい、理解しました」と英語で短く返答した。

 また、実川被告が日本で服役を希望している可能性があることが明らかになった。弁護側が裁判官に対し、国際移送についての発言を求めた。日本は欧州評議会などと受刑者移送条約を締結。両国政府と受刑者が同意するなど一定の条件下で移送が可能で、裁判官は「該当するならば歓迎する」と回答。

 公判では、裁判官は実川被告を厳しく糾弾。「飲酒により乗客乗員の命を危険にさらす恐れがあった」とし、「(検査)数値を見る限り、まだ酩酊状態で(仮に乗務していたならば)数時間その状態が続いたはずだ」と述べた。

 検察側は、当時被告が「真っすぐ立っていられなかった」ことや保安担当者が接触した際「目付きがトロンとしていた」と強調。一方、弁護側は家族と離れる寂しさや不規則な勤務時間などで被告が不眠症に陥っていたと主張した。酒を飲んで解決しようとしてしまい「本人も(飲酒を)問題として認識していた」とした。

 日航は判決後に「個人の意識の甘さと、監督責任を果たせなかった結果で、慚愧(ざんき)の念に堪えない。再発防止を徹底する」とコメント。実川被告を懲戒解雇の処分にすることを決めたと発表した。また赤坂祐二社長の報酬を12月分から3か月間、20%減額とする処分も明らかにした。赤坂社長は既に11月分を20%自主返納している。

 ◆日航パイロット飲酒事件 日航によると、実川被告は英国時間10月28日、ロンドン発羽田行き日航44便に乗務予定だったが、前夜にワイン2本と缶ビール5本を飲んだ。出発前の検査を不正にすり抜けたが、移動バスの運転手がアルコール臭に気づき、保安担当者に連絡。呼気から法令が定める基準の約10倍に当たるアルコール量が検出され、英警察に逮捕された。

社会
注目トピック