【プチ鹿島のプチ時評】「あった」「なかった」を考える

2018年12月17日12時0分  スポーツ報知
  • プチ鹿島

 思わず目を疑った記事があった。読売新聞で見つけた。

 「『若い連中もっとヤジを』首相発言と紹介後撤回」(13日)である。

 銀座のステーキ店で安倍首相は麻生財務相や河村建夫・元官房長官らと12日に会食。河村氏は首相が会食中に「『最近の若い連中、もっと(国会で)元気出してヤジが出てもいいのに』と言っていた」と会食後に記者団に述べたが、直後に撤回したという。

 実はこれとまったく同じことが6月にあったのだ。

 銀座のステーキ店でメンバーもほぼ同じ。河村氏は会食後、首相が「(予算委員会での)集中審議は勘弁してくれ」と話していたと記者団に語った。

 モリカケ問題で野党の追及を受けるのはもうイヤだ、という意味だろう。しかし翌日になって「そういう言い方は一切なかった」と前日の発言を撤回したのだ。今回もまったく同じ展開なので6か月ぶり2度目である。ちょっと驚いた。

 今年の政権絡みのニュースの特徴は、「あった」と言われていたものが「なかった」という説明がよくあったことである(モリカケ系)。逆に「なかった」と言っていたものが「やっぱりあった」という展開も多かった(こちらもモリカケであり自衛隊の日報問題など)。

 それを念頭に河村氏の2度の発言撤回を考えてみよう。ここに全てが集約されていると思えないだろうか。

 ハッキリ言って、首相のステーキ店での発言(「もう勘弁して」&「若い連中もっとヤジを」)は実際にあったとしても重大事ではない。酒の席での愚痴であり身内ウケの類いだろう。

 しかし少しでもマイナスになりそうな言葉や事実がオモテに出るとすぐに否定される。もしくは撤回を要求されるように見える。こんな小さなことまでいちいちなかったとするなら、「大きなこと」に対しての態度もついつい想像してしまうではないか。今年のあれこれを。

 小ネタはすべて大ネタにつながっている。神は細部に宿るのである。

 それにしても「ポロリ河村」氏は真の意味での政権スポークスマンで貴重だと思うが、もう会食に呼ばれなくなっちゃうのかなぁ。(お笑いタレント、コラムニスト)

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