プロレスラーの鈴木健三さん、明大ラグビー日本一に歓喜…22年前Vメンバー、妻・浩子さんもOG

スポーツ報知
自身が表紙になった雑誌「ナンバー」を手に22年ぶりの日本一を喜ぶ鈴木健三さんと妻の浩子さん

 12日に行われた全国大学ラグビー選手権(秩父宮)で、明大が22大会ぶり13度目の日本一となった。前回優勝時のメンバーで、プロレスラーの鈴木健三さん(44)は自宅で家族とテレビ観戦。「(96年に亡くなった)北島忠治監督も天国で喜んでくれていると思います」と後輩たちの偉業をたたえた。プロレス時代にコンビを組んだ千葉県船橋市議で妻の浩子さん(44)も同校OG。家族で王者・明治の復活を喜んだ。(久保 阿礼)

 「前線の選手が体を張ってましたし、頑張って走っていました。ずっと勝てませんでしたけど、本当にうれしいですね」。浩子さん、長男(7)と3人でテレビ観戦した鈴木さんは、時折、声を上げながら熱戦を見守った。残り5分、1トライ差を守り切るハラハラドキドキの展開。ノーサイドの瞬間はガッツポーズで喜んだ。

 鈴木さんは97年1月の大学選手権で早大を32―22で破り、2年連続日本一を決めた際の優勝メンバー。身長191センチ、体重110キロの大型ロックとして、明大ラグビーの代名詞「重戦車フォワード」の一角を担った。

 現在のチームを率いる田中澄憲監督(43)はスクラムハーフ、伊藤宏明コーチ(43)はスタンドオフとして、共に戦った仲間。「我々の世代が指導者となり、平成最後の選手権で優勝できましたね」。田中監督、伊藤コーチとはSNSで今も連絡を取り合う。「同期で祝勝会をしたい。本当によくやった」とねぎらった。

 67年間監督を務めた名将・北島さんの教えを受けた最後の世代。フォワード戦で相手を圧倒する「前へ―」の精神をたたき込まれた。北島さんの教え子が指揮を執り、後輩たちが躍動する姿に「北島イズムを感じることができた」という。

 当時、北島さんは「大学レベルで満足せず、上のレベルで、世界で戦うために何が必要かを考えろ」と言い続けたという。くしくも今年は日本で初のW杯が開催される。「そういう年に明治が殻を打ち破れたことに何かの縁を感じますね」

 明大卒業後は地元愛知の東海テレビに入社したが、プロレスラーに転身し、新日本プロレスや米WWEなどで活躍。今は、一線を退き、共同テレビの副部長として番組制作を担当する。昨年3月には、BSフジで「前へ 明大ラグビー部のキセキ」を放送した。「また、番組を作りたいですね。昨年は帝京大に負けましたが、今度は勝った試合で、新しい明治の物語を作りたい。V2、V3を目指して頑張ってほしい」。平成最後に復活を果たした母校の新時代到来に思いをはせた。

 ◆現在は船橋市議 ○…明大在学中に「ラグビーマガジン」の契約記者として当時選手だった健三さんを取材していた浩子さんは、母校の22年ぶりの日本一を見届け「明治の新時代が来る」と声を弾ませた。卒業後は福島中央テレビからフリーアナとなり、03年に結婚。夫と二人三脚でリングを沸かせた。15年4月の船橋市議選で初当選し、今年4月に行われる千葉県議選に立候補予定。

 ◆鈴木 健三(すずき・けんぞう)1974年7月25日、愛知県生まれ。44歳。刈谷北高でラグビーを始め、大型ロックとして活躍。卒業後は東海テレビに就職するも、99年4月、24歳で新日本プロレス入り。低く鋭いタックルを武器とした。米WWEでは、妻の浩子さんも「ゲイシャガール」としてリングに上がり、ハッスル、全日本などを経てプロレスからは一線を退く。17年に共同テレビに入社し、番組制作を担当する。

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