死亡小4女児、嘘の手紙を暴行父に書かされた

スポーツ報知

 千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(10)が自宅浴室で死亡した事件で、同県柏児童相談所が5日、会見した。2018年2月に「父からの暴力はウソ」との趣旨の心愛さんがつづったという書面を傷害容疑で逮捕された父・勇一郎容疑者(41)から提示されたものの、実際には心愛さんは指示されて書かされていたものだったと明らかに。児相は3月に心愛さんと勇一郎容疑者の同居を認めたが、「今となっては、そこの見立てが足りなかったと思います」と話した。

 暴力を振るう父の元へ戻すのが実際には危険でありながら、「虚偽の手紙」によって心愛さんが勇一郎容疑者に引き渡されていた可能性が出てきた。

 児相の二瓶一嗣所長によると、17年12月から心愛さんが生活していた親族宅を18年2月26日に職員が訪問。同席した勇一郎容疑者から「お父さんにたたかれたということはウソです」などと書かれ、心愛さんの署名がされた書面を見せられた。さらに、勇一郎容疑者は「これ以上、家族を引っかき回すと、児相という組織でなく職員個人を訴えることも検討している」と迫ったという。

 児相は同月28日に会議を開き、心愛さんを父母宅に戻すか、一時保護するか話し合った。その結果、虐待の再発が認められなかったことなどから自宅に戻すことを決め、3月2日に帰宅した。

 しかし、同月19日に児相の職員が小学校を訪ね、心愛さんに聞き取りを行ったところ、書面の内容が勇一郎容疑者の指示によって書かされたものであることが明らかになった。心愛さんは「言っていいのかな?」と自問した後、「お父さんが仕事でいない時に家に行ったら、お母さんの携帯にメールで『こういう手紙を書きなさい』とお父さんが伝えてきて、それを写した」と職員に説明したという。

 児相の担当者は、心愛さんの書面について「当初から本当の気持ちで書かれているのか疑うことがあった」と認めた。ただ「学校には何かあれば連絡してほしいと伝え、こちらも早急に動ける態勢は取っていた」とし、対応に問題はなかったとも取れる見解を示した。

 事件発覚後、この日まで手紙の存在を明らかにしなかったことについて、二瓶所長は「情報開示の大事さは重々分かっていたが、いろいろな業務がある中で思いが至りませんでした」と釈明。隠蔽の意図については「そのつもりはありませんでした」と否定した。

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