「しんじょう君」が「ちぃたん☆」に活動やめて!同じ作者、デザインそっくり

スポーツ報知

 2016年のゆるキャラグランプリで優勝した高知県須崎市のマスコットキャラクター「しんじょう君」に酷似し、著作権を侵害しているとして、市は6日、ゆるキャラ「ちぃたん☆」の商標登録を出願した東京の芸能事務所に、ちぃたん☆の活動停止を求めたと明らかにした。

 「ちぃたん☆」はしんじょう君と同じ作者がデザインしたゆるキャラ。テレビにもたびたび出演しており、市は局などにも対処を求める通知を出した。

 「ちぃたん☆」は、「しんじょう君」がゆるキャラグランプリで優勝した翌年の2017年に、同じ作者がデザインし誕生。有名な地下アイドルが在籍する東京の芸能事務所に所属している。「バッティングセンターの投球を頭に受ける」などの過激なパフォーマンスをネット上で公開するなどして大きな注目を集めた一方で「暴力的」との批判もあり、姿が似ていることから市には苦情が殺到していた。

 ゆるキャラ「ちぃたん☆」は、ネット上で愛らしい動画が人気になっていた本物のコツメカワウソ「ちぃたん☆」がモデル。カワウソ自体もゆるキャラが所属する芸能事務所が所有しているという情報もある。

 この「本物」は、市が昨年1月に観光大使に任命していたが、ゆるキャラをめぐる苦情の多さも一因となり、市は今年1月17日に「本物」を解任。同日にゆるキャラの方に活動停止を文書で要請した。

 市によると、芸能事務所は17年、ゆるキャラのイラストや着ぐるみについて特許庁に商標出願。今春にテレビアニメ化の予定もあるとしており、今月1日には各テレビ局などに「著作権侵害だ」と通知し対処を求めた。

 ゆるキャラのツイッターでは、今月1日に「ちぃたん☆がアニメ化することになりましたっ☆みてくださいねっ☆4月3日からテレビ東京ちゃんで放送ですっ☆」と書き込み。また、公式ホームページには「フジテレビ スパーク 毎週日曜23時15分から『ちぃたん☆チャレンジ』放送中」と告知している。テレビ東京は「編成上のことはお答えできない」と回答したがアニメは予定通り開始するとみられる。

 楠瀬耕作市長は「キャラに罪はないが、著作権は市民の財産。訴訟も選択肢の一つだ。直ちに活動をやめてほしい」と主張。ちぃたん☆を管理する会社の担当者は「お騒がせして申し訳ない。現在これまでの経緯や事実関係の確認を進めている。近日中に発表したい」とした。

 ◆コツメカワウソ 主に東南アジアに生息し、体長45~60センチの小さな体から「世界一小さいカワウソ」と呼ばれることも。ワシントン条約で絶滅の危険性が高くなるおそれがあるとして希少種に指定されているが、近年では日本でペットとして飼育されることも多い。

 ◆過去のキャラクターをめぐるトラブル

 ▼NOVAうさぎ 英会話教室の名物キャラ。03年に都内の衣料品会社がTシャツやバッグなどを製造販売する3年契約を結んだが、NOVA側からわずか3か月で契約を解除されたことを不服として訴訟に。原告の請求は棄却された。

 ▼ひこにゃん 2007年、原作者のイラストレーターが商標の使用中止などを認め彦根市に調停を申し立て。さらに男性は類似キャラクター「ひこねのよいにゃんこ」を作成するなど騒動も、12年に和解。

 ▼ドラえもん 15年に中国福建省のスポーツ用品企業が「機械猫」としてそっくりのキャラクターを商標登録。ドラえもんの使用権を持つ上海の企業の著作権を侵害しているとして、商標無効の判断が示された。

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