愛媛県庁に匿名段ボール ボロボロ1万円札で1億円…日本銀行に交換を依頼へ

スポーツ報知

 愛媛県は14日、現金で推計1億円程度の寄付が匿名であったと発表し、報道陣に公開した。1月29日に中村時広知事宛ての段ボール箱1個が届き、中に劣化が進んだ1万円札が大量に入っていたという。

 県によると、中身を確認した後に警察や弁護士らに相談。紙幣と一緒に寄付であることを示唆する手紙が入っていたことなどから、受け取ってもいいとの判断を得たという。その確認作業のために、配達されてから公表まで約2週間を要したとした。

 段ボールは縦と高さが25センチ、幅が37~8センチの無地。配達票の送付者の欄には住所、氏名、電話番号が書かれていた。県が調べたところ、住所は実在するものの当該の場所には人が住んでおらず、電話番号は使われていなかった。同封されていた手紙には手書きで、配達票の氏名が架空のものであると記されていたほか「何かの役に立ててください」「そっとしておいてください」などと書かれていたという。

 1万円札は「D号券」と呼ばれる1984年から発行されたもの。肖像は2004年から発行され、現在も使用されている「E号券」と同じ福沢諭吉だが、デザインが異なるほか、偽造防止のホログラムが付いていない。送られて来た紙幣の多くが変色しており、くっついた状態で複数の束になり、容易に剥がせない状態。新聞のようなもので包んであるとみられる束もあった。県では今後、日本銀行に紙幣の確認と交換を依頼する。

 中村知事はこの日の記者会見で「寄付者の善意の気持ちに沿って、県民の福祉に役立てる」と述べた。昨年7月の西日本豪雨の復旧事業などに活用する意向という。

 ◆損傷紙幣の引き換え 汚損や損傷、その他の理由により使用することが困難となった紙幣については、日本銀行の本支店で新しい紙幣と交換することが可能。この際、全体の3分の2以上が残っている場合は額面の全額を、全体の5分の2以上、3分の2未満の場合は額面の半額を新しい紙幣で受け取れる。全体の5分の2未満しか残っていない場合は交換できない。

 ◆個人による地方自治体への主な寄付

 ▼2007年11月 88歳女性が、故郷の神奈川・南足柄市に10億円を寄付。子どもたちの教育関係への資金に役立てることが目的。

 ▼16年12月 京都市内の男性が、青森市に5億円を寄付。青森にゆかりがある人物で「青森市民のために使ってください」との意向を市に伝える。

 ▼17年7月 人気漫画「北斗の拳」などの原作者として知られる武論尊さんが、経済的な理由で大学への進学が難しい子どもたちを支援する奨学金の原資として、出身地の長野県佐久市に4億円を寄付。

 ▼同12月 兵庫県篠山(ささやま)市の名前を「丹波篠山市」に変更してほしいとして、匿名で1億円の寄付。住民投票の結果、今年5月1日に改名予定。

 ▼18年1月 青森市に匿名市民から20億円の寄付。青森県は男性平均寿命9回連続全国ワースト(当時)で「短命を返上したいので、健康やスポーツ関連事業に使ってほしい」と要望。

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